12月といえば、冬の澄んだ夜空に舞い降りるふたご座流星群ですね。
しぶんぎ座流星群、ペルセウス座流星群と並ぶ「三大流星群」のひとつで、毎年安定して多くの流星が見られる人気イベントです。
この記事では、2025年のふたご座流星群のピーク時間や見えやすい方角、観察のコツをわかりやすくまとめました。
Contents
2025年のふたご座流星群は好条件!
2025年のふたご座流星群は非常に恵まれた条件が揃っています。
まず注目すべきは、極大日(12月14日ごろ)の月齢です。
流星観察の最大の敵とも言える「月明かり」が、今年はほとんど影響しないのです。
極大日の前後、12月14日と15日の月齢はそれぞれ24と25で、細くなった三日月にあたります。
この時期の月は夜遅くになってから昇ってくるため、ふたご座流星群のピークである深夜から明け方の時間帯においても月明かりがほとんど気になりません。
実際、2025年12月14日には月の出が1:30ごろ、12月15日にはさらに遅れて2:30ごろになります。
これは最も多くの流星が見られる深夜0時から午前3時前後において、月がまだ地平線の下にあるか非常に低い位置にとどまることを意味しています。
しかも三日月の明るさは非常に弱いため、たとえ昇ってきたとしても満月のように空全体を照らしてしまうことはありません。
光害の少ない場所では、肉眼でもはっきりと暗い流星をとらえることができる好条件です。
これほど月明かりの影響が少ない年は意外と珍しく、まさに2025年は「当たり年」と言えるでしょう。
天候さえ良ければ、観察初心者でも感動的な体験ができるチャンスです。
ピークがなだらかなふたご座流星群
2025年のふたご座流星群の極大は12月14日の17時ごろと予想されています。
ですがそこまで心配する必要はありません。
ふたご座流星群は活動のピークが非常になだらかなことで知られている流星群です。
これは極大時刻の数時間だけ流星が集中して現れるタイプではなく、前後数日間にわたって安定して多数の流星が出現するという特徴を持っています。
ふたご座流星群の母天体は3200ファエトンという小惑星です。
通常は流星群の母天体は彗星であることが多く、彗星から噴き出したチリが細く散らばることで活動が短時間に集中する傾向があります。
しかしファエトンの場合、長い時間をかけて放出されたチリが比較的広範囲にわたって軌道上に分布しているため、地球がそのダストトレイルを横断する際に急激な増減が起こりにくいのです。
そのため、12月13日の夜から15日の明け方にかけてはどの時間帯でも比較的多くの流星が見られる可能性があります。
ふたご座流星群は0時から3時くらいが一番見頃なので、その時間を狙って粘ってみましょう。
複数の夜に渡って観察できるのはふたご座流星群ならではの魅力です。
このようにピークがなだらかな流星群は観測のチャンスが広がるという点でも非常にありがたく、天候やスケジュールに左右されにくいという利点があります。
「せっかく準備したのにピークを逃したら何も見えなかった…」という心配が少ないため、初心者にも安心しておすすめできる流星群です。
さらに2025年は月明かりの影響もほとんどなく、好条件が重なる絶好の年です。
ピークの瞬間だけでなく、その前後の夜もぜひ空を見上げてみてください。
思いがけないタイミングで美しい流星が頭上を駆け抜けていくかもしれませんね。
流星群に双眼鏡や望遠鏡はNG
天体観測と聞くと、つい双眼鏡や望遠鏡を思い浮かべるかもしれません。
しかし、流星群の観察においては双眼鏡や望遠鏡は基本的に使用しません。
むしろ、使ってしまうと流星を見逃してしまいます。
どうしてでしょうか?
その理由は流星が出現する範囲とスピードにあります。
流星は大気圏に数十km/sという猛烈なスピードで突入し、一瞬で夜空を駆け抜けて消えてしまいます。
しかもその出現位置は空全体に散らばっていて、放射点を中心にランダムな方向に飛び出すように見えるのです。
一方で双眼鏡や望遠鏡の視野は非常に狭く、空のごく一部分しか見ることができません。
たとえば天体望遠鏡の視野は月1個分(約0.5度)ほどしかなく、双眼鏡でもせいぜい6度程度です。
これでは広範囲に飛び交う流星をとらえることができず、ほとんどの流星を見逃してしまうことになります。
また、望遠鏡で空をじっと覗いている間は視線も固定されてしまいます。
その結果、すぐ横で長く明るい流星が流れていても全く気づかないということも珍しくありません。
流星観察で大切なのは、空を広く全体的に眺めることです。
観察用の道具としては、レジャーシートやリクライニングチェアなどに寝転がって、視野を最大限広げるのがベストです。
立ってずっと空を見上げていると首が崩壊するので、暖かい素材でできたシートや椅子があるといいでしょう。
もちろん12月なので防寒対策は忘れずに。
防寒対策はしすぎなくらいがちょうどいいんです。
放射点の位置(12/13から12/14)
ここからは、流星が飛んでくる起点になる「放射点」がどこらへんに来るかを解説していきます。
観測位置は東京に設定していますが、本州ならそこまで差はないでしょう。
使用する画像はすべて星図アプリの Sky Guide からとっています。
感謝しますm(*_ _)m
ふたご座流星群の放射点はふたご座のこの辺りです。

拡大してみるとこのあたりです。

ふたご座という星座があり、そのカストルという星の近くが放射点になります。
右下の非常に明るい星は木星です。
木星が目印になるかもしれません。
それでは放射点の位置を時刻ごとに追っていきましょう。
2025/12/13 20:00

12/13の夜、20:00にはすでにふたご座が東の空に昇ってきています。
方角としては東北東(北東と東の間)でしょう。
このときの放射点の高さはおよそ21°です。
ここから上へ飛んでいく流星は見れると思います。
2025/12/13 21:00

21:00時点の放射点の位置です。
高度は32°ほどに上がり、流星がさらに見えやすくなっています。
この時点でも流星を見ることができるでしょう。
2025/12/13 22:00

22:00時点の放射点の位置です。
高度は44°にもなります。
ですがこの時点でもまだ方角は東あたりです。
2025/12/13 23:00

23:00時点の放射点の位置です。
このときですでに高度は56°ほどまで上がってきています。
この時間帯では天頂(真上)に注目すると暗い流星も見れると思います。
2025/12/14 0:00



日付が変わって12/14になりました。
0:00時点の放射点の位置です。
この時点で放射点の高度は68°になってますね。
ここからいよいよ本番といったところです。
やはり天頂の方向を注目して見ているのが1番よさそうです。
ただ、放射点から遠いほうが軌跡が長くて目立つ流星になりやすいので空全体をまんべんなく見渡すのがポイントです。
2025/12/14 1:00



1:00時点の放射点の位置です。
この時点で高度は80°に達しています。
天頂を見るのもいいですが、放射点から近いと軌跡が短く目立たななくなりがちなので少し離れた位置をぼんやり眺めているのがよさそうです。
ここまで来ると放射点から四方八方に流星が飛んでくるはずです。
折りたたみ椅子に腰掛けてぼんやりと空を眺めるのがいいでしょう。
2025/12/14 1:30
ここでようやく三日月が東から昇ってきます。
位置はこんな感じです。

南東寄りの東から月がのぼってきます。
ただ、低くてしかも三日月なのでそこまで影響はないでしょう。
2025/12/14 2:00



2:00時点の放射点の位置です。
位置はほぼ天頂で、高度は84度ほどに達しています。
この時刻になると真上から流星が四方八方に飛んでくる感じです。
一番迫力がある時間だと思いますね。
真上に向かって超広角レンズでタイムラプス撮影をすると、大量の流星が写り込むはずです。
魚眼レンズがあれば最強でしょう。
2025/12/14 3:00



3:00時点の放射点の位置です。
この時点での高度は73°ほどになるでしょう。
2:00に比べて放射点の高度が少し下がってますが、それでも多くの流星が見られるはずです。
2025/12/14 4:00


4:00時点の放射点の位置です。
高度は61°で方角は南西です。
ここまで来ると月が少し邪魔になってきます。
ただ、天頂付近であれば暗い流星はバンバン見れると思います。
2025/12/14 5:00


5:00時点の放射点の位置です。
高度は48°です。
流星が伸びてくるであろう方角に三日月がいるのが少し残念です。
狙うなら月がいない22:00や23:00のほうがいいでしょう。
放射点の位置(12/14から12/15)
極大予想時刻が12/14の17時ごろなので、12/14から12/15が本命の夜(極大夜)になります。
放射点の位置はさっきの12/13から12/14とほぼ同じです。
なので省略します。
ですが、月が昇ってくる時刻が違ってきます。
12/14には月が1:30くらいに昇ってきますが、12/15にはさらに遅れて2:30くらいに昇ってきます。
そのときの様子がこちらです。

12/14よりも月がさらに遠くにいますね。
しかも12/14に比べて月がさらに細くなって暗くなるので、観測条件は最良になります。
天候や都合が合えば12/14から12/15の夜を狙うのがよさそうです。
なので12/14から12/15の夜が極大夜、そして月の位置も完璧という最高の夜になります。
2025/12/15 3:00

2025/12/15 4:00

2025/12/15 5:00

撮影派向けのおすすめ機材
流星群を見るだけでなく、写真として残したいという人もいるでしょう。
そんな人向けにおすすめの機材を紹介します。
すべて私が実際に使っているものです。
カメラ
まずはカメラを用意したほうがいいです。
スマホでも撮れますが、ガチで撮るならやっぱりカメラがあったほうがいいです。
おすすめは Nikon Z6II です。
最新モデルの Nikon Z6III は高すぎる割に、星景写真では性能の違いはほとんど気にならないので Nikon Z6II で十分です。
Z6IIでも驚異的な写真がたくさん撮れます。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
レンズ
カメラと同じくらい大切なのがレンズです。
粗悪レンズだと星の形がぐちゃぐちゃになったり、星の周りに紫色のリングができたりします。
なので多少高くてもレンズには投資するべきですね。
おすすめは Nikon Z6II に対応している NIKKOR Z 20mm f/1.8 S です。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
三脚
星景写真では三脚も重要です。
手で持つとプルプルして星がブレブレになってしまいます。
ただ、三脚はでかすぎるとかさばるし重いので嫌ですよね。
そこで私がおすすめするのがVelbonのUT-3ARです。
折りたためばペットボトルくらいのサイズまで小さくなるすぐれものです。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
レンズヒーター
ふたご座流星群の時期は真冬です。
なのでレンズが一瞬で結露する可能性もあります。
レンズを温めるレンズヒーターというものがあるので、必ず持っていくようにしましょう。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
最後に:万全の準備をして流星群を楽しもう!
2025年のふたご座流星群は数年に一度の素晴らしい条件です。
月の位置や極大時刻など、ここまで条件が揃うことはなかなかないでしょう。
ふたご座流星群はとても明るい流星群です。
ひとつでも見れたら一生の思い出になると思います。
今年の冬、ぜひふたご座流星群を見に出かけてみてください。
では。
星空の撮影の仕方はこの記事で書いてます↓






















