星の見かた

オリオン座と天の川の位置関係を解説!淡い冬の天の川の探し方

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冬の夜空といえば、誰もが思い浮かべるのがオリオン座。

くっきりと目立つ星々が冬の空を彩ります。

ですが「天の川」といえば夏のイメージが強くて、冬には見えないと思っていませんか?

実は、冬にもちゃんと天の川は空にあります。

ただしその姿はとても淡く、夏のようなドラマチックな帯状ではありません。

そこで今回、オリオン座を起点にした冬の天の川の探し方や位置関係の解説をお届けします。

オリオン座ってどんな星座?冬の代表格!

オリオン座は冬の夜空でもっとも印象的で、もっとも見つけやすい星座のひとつです。

こんな感じのやつです。

11月ごろから東の空に現れ始め、12月や1月には南の空の高い位置に昇り、誰の目にもはっきりと映るようになります。

明るいので都会でも簡単に見つけることができます。

寒空の下、吐く息が白くなる季節にひときわ存在感を放つのがこの星座です。

その特徴はなんといっても、横に整列した三つの明るい星——アルニタク、アルニラム、ミンタカからなるオリオンの三つ星(ベルト)です。

この三つ星はほぼ等間隔・一直線に並んでいて、非常に目立つ配置をしています。

三つ星を見たら間違いなくオリオン座でしょう。

また、三つ星の左上には赤みを帯びた1等星のベテルギウスが輝いていて、右下には青白い1等星のリゲルが見えます。

ベテルギウスは赤色超巨星であり、いずれ超新星爆発を起こすと予想されている注目の天体です。

赤と青のコントラストが目に鮮やかで、色の違いを肉眼で楽しめる数少ないペアといえるでしょう。

また、三つ星の下には「小三つ星」と呼ばれる星の並びがあり、その中には有名なオリオン大星雲(M42)が存在します。

三つ星の下らへんにピンク色の点があるのがわかるでしょうか。

それがオリオン大星雲です。

写真に撮るとこんな感じです。

これは肉眼でもぼんやりと雲のように見える天体で、小型望遠鏡や双眼鏡を使うと内部の構造や色の違いがはっきりとわかります。

初心者にとって最初に見るべき天体の代表格であり、天体写真の入門にも最適な対象です。

都会の光が強い夜空でもオリオン座はその明るさと整った形から見つけやすく、「冬の星空の入り口」として知られています。

実際、天文ファンにとってもオリオン座は特別な存在です。

星雲、星団、変光星など観察対象が豊富で、初心者からベテランまで楽しめる星座といえるでしょう。

オリオン大星雲だけでなく馬頭星雲やM78もオリオン座です。

このように、オリオン座は冬の星空を語るうえで欠かせない存在です。

星空観察の初心者にとってはもちろん、経験者にとっても何度見ても飽きない魅力があります。

天の川ってそもそも何?夏と冬で見え方が違う?

「天の川」と聞くと、夏の風物詩や七夕のイメージを思い浮かべる方も多いでしょう。

しかし、その正体を正確に説明できる人は案外少ないかもしれません。

天の川とはいったい何なのか?

そして、季節によってどう見え方が変わるのか?

ここではその疑問に詳しくお答えします。

天の川とは私たちが属する銀河系の姿

天の川とは、無数の星々が集まった巨大な銀河天の川銀河(銀河系)を私たちが内側から眺めた姿です。

天の川銀河とは、今私たちが住んでいる銀河のことです。

私たちの地球は、太陽系とともにこの銀河の一部に存在しています。

CDやドーナツのように平たい形をした銀河の中で太陽系は円盤のふちに近い場所に位置していて、銀河の面(円盤)を横から見るかたちで星々を眺めていることになります。

そのため、銀河の円盤の方向を見上げると星が密集して見え、空に帯のように広がるのです。

これが私たちが天の川と呼んでいる天体の正体です。

星の集まりが雲のように見える理由

では、どうして天の川はあんなもやもやに見えるのでしょうか?

それは、そこに星が非常に多く集まっているからです。

ひとつひとつは肉眼で分離できないほど小さく暗い星でも、それが何十億個も集まると乳白色の雲のような帯として浮かび上がります。

特に暗い空で空気が澄んでいる場所では、星だけでなく暗黒星雲(宇宙の塵のかたまり)によって天の川が部分的に断絶して見えることもあります。

これは「暗い部分がある」のではなく、背景の星々を手前の塵が隠しているからです。

暗黒星雲は光を反射しないので暗く見えるんですね。

夏と冬で見え方が違う理由

天の川が空に常にあるにもかかわらず、「夏の天の川は濃い」「冬は見えない」と言われる理由は私たちが向いている方向が変わるからです。

地球は1年かけて太陽のまわりを公転しているため、夜に見える星の位置も季節によって変化します。

夏の夜空では、銀河の中心方向(いて座・さそり座付近)を見ることになります。

そこは銀河系の最も星が密集している領域で、明るく濃密な天の川が南の空に堂々と横たわります。

写真に撮ると明るくはっきりと写るはずです。

一方、冬の夜空では、銀河の外縁部(いっかくじゅう座・ふたご座方向)を見ることになります。

この方向は銀河の端のほうなので星の密度が低く、天の川は非常に淡くなります。

そのため「冬は天の川が見えない」と思ってしまう人が多いのです。

しかし、実際には冬にも天の川は空にあります。

ただしその姿は、夏のように夜空を横切る太い帯ではなく、繊細な雲のような淡い光の筋として現れます。

空が非常に暗い場所では、肉眼でもうっすらと存在がわかるでしょう。

「見えない」わけではない。見え方が違うだけ

天の川の見え方は季節によって大きく異なりますが、それは天の川自体が変化しているわけではなく、私たちが見ている方向が変化しているだけなのです。

夏は銀河の心臓部で、冬は銀河の外縁部が見えます。

その違いが天の川の印象に大きく影響しているのです。

ちなみに、春の天の川は地平線の下にあって北半球では見づらいです。

南半球に行くとみなみじゅうじ座やケンタウルス座がはっきりと見えるでしょう。

オリオン座と天の川の位置関係を図解!

それでは、ここからオリオン座と天の川の位置関係を解説していきましょう。

これが私が野辺山で撮影した冬の夜空です。

非常に淡いですが、この写真の中に冬の天の川が写っています。

これです↓

この赤いラインに沿って天の川が流れています。

なので、オリオン座の左上の赤いベテルギウスを見つけたら、そのすぐ東(右)側に冬の天の川が流れています。

空が非常に暗くないと肉眼では見えませんが、「ここにあるんだな」と思ってもらえればうれしいですね。

特に注目すべきはぎょしゃ座のカペラです。

この星ですね↓

この星は11月から2月が見頃で、冬の天の川も一緒に見ることができます。

カペラは70度前後まであがってくるので光害の影響を受けにくく、カペラあたりの冬の天の川が一番見やすいです。

まずはオリオン座のベテルギウスを見つけて、そこからカペラを見つけるといいでしょう。

ベテルギウスとカペラの間に冬の天の川が通っています。

新月前後か月が沈んでいる時間を狙おう

ただ、ここでひとつ注意点があります。

それが、月の存在です。

天の川を観察したい、あるいは写真に撮りたいと考えている方にとって月は最大の敵と言っても過言ではありません。

どれだけ空気が澄んでいても、どれだけ暗い山奥に遠征しても、月が出ていたら淡い天の川はあっけなくかき消されてしまいます。

私たちが見る天の川は、非常にかすかな光の帯です。

その正体は無数の微光星の集合体であり、光の強さで言えば1等星や2等星に遠く及ばない「微かな光の集まり」です。

夏の天の川でさえ5等級くらい、冬の天の川はもっと暗いです。

だからこそ、周囲が本当に暗くないと視界から浮かび上がってくれないのです。

月がいるとすべてが台無しになってしまいます。

特に満月のときの月明かりは非常に強力で、その明るさは市街地の光害にも匹敵するほどです。

月が空に出ているだけで天の川の繊細な光はすっかり洗い流されてしまい、まったく見えなくなることもあります。

これは肉眼での観察だけでなく、天体写真でも同じです。

カメラはかすかな光を増幅して写してくれますが、月明かりがあると空全体が白くかぶってしまい、天の川のディテールが失われてしまいます。

ではどうすればよいのでしょうか。

それはシンプルに、「月の影響が少ない時間を選ぶ」ということに尽きます。

具体的には次の2つの条件を意識しましょう:

新月前後の日を選ぶ

月の満ち欠けを考慮して、新月を中心とした前後3日間くらいがもっとも条件が良い時期です。

新月の日は月が太陽とほぼ同じ方向にあるため、夜間には月がまったく出ていません。

このタイミングなら空が一晩中暗く保たれるため、天の川の観察・撮影には絶好のチャンスとなります。

月齢カレンダーや天文アプリを使えば、新月の日を簡単に確認できます。

天体撮影を予定するなら、スケジュールを新月に合わせることが重要です。

とはいっても、天気や予定の都合で新月前後に出かけられない場合もあります。

そんなときは月が沈んでいる時間を狙いましょう。

月が沈んでいる時間帯を狙う

新月のタイミングに予定が合わない場合でも、月が沈んだ後の時間帯を狙うことで対策が可能です。

たとえば、上弦の月(半月)は夜の前半にだけ空に現れます。

そういう日は深夜2時以降など、月が沈んだ後の時間帯に観察することで天の川を見るチャンスがあります。

逆に下弦の月の場合は夜明け前に昇ってくるので、夜の早い時間に観察や撮影を済ませる必要があります。

このように、月齢だけでなく月の出没時刻にも気を配ることが大切です。

天の川撮影では、月明かりを“使わない”ことが基本

ただの星景写真ではなく天の川を本格的に撮影したいなら、月が出ていない夜を選ぶことは絶対条件です。

特に冬の天の川は非常に淡く、空の透明度に加えて「暗さ」がなければ浮かび上がってきません。

どうしても予定が合わない場合、最低でも新月から半月までのどこかで出かけるようにしましょう。

満月の日に天の川を見に行っても何も見れずに終わると思います。

月と天の川は共演できない存在

もちろん月そのものを撮影したり、風景と絡めて星景写真を撮る際には満月の光も魅力的な要素になります。

月明かりで山や木々が照らされた幻想的な光景は、星空とはまた違う美しさを持っています。

しかし、こと天の川に関しては月と共演することはほぼ不可能だと考えておいたほうがよいでしょう。

天の川は暗闇の中にこそ浮かび上がる、夜空の最も繊細な光なのです。

月の出ていない時間を見極めるのが成功の鍵

天の川を本気で見たい・撮りたいと思ったら、まずは月の出ていない日と時間帯を選ぶことが何よりも大切です。

月齢カレンダーを確認し、新月を中心にスケジュールを組む。

あるいは月の出没時刻を把握し、月がいないタイミングから活動を始める。

このひと手間だけで、あなたの目の前にはまったく違う夜空が広がります。

まるで宇宙の奥深くをのぞき込んだような、本物の星の川に出会えるでしょう。

最後に

今回は冬の天の川とオリオン座について解説しました。

オリオン座は都会でも簡単に見つけられますが、天の川は街明かりが少ない田舎に行かないと見ることができません。

しかも、月が出ているだけで天の川の光はかき消されてしまいます。

天の川は思った以上に繊細な存在です。

都会から離れなきゃだめ、月がいてもだめ、薄雲があってもだめ。

一回チャレンジするだけでは見れないかもしれません。

ただ、それでも肉眼で天の川を見れたときの喜びはひとしおです。

機会があったらぜひ冬の天の川にチャレンジしてみてください。

では。

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