さそり座と聞くと、10月から11月生まれの星座というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
実際、占星術では蠍座は10月末から11月の星座です。
しかし、実際の星空ではさそり座は夏の星座として知られています。
しかも、観察や撮影のベストタイミングは5月の夜。
どうして11月ではないのでしょうか?
この記事では、そんな少し不思議な「さそり座」の見頃の理由や見つけ方についてわかりやすく解説します。
さそり座ってどんな星座?
そもそもさそり座ってどんな星座なんでしょうか?
さそり座は春先から夏にかけて見れる星座で、明るい星たちを結んでできています。
その形がさそりに似ていることからさそり座と呼ばれるようになりました。
こんな感じです。

中心の明るくてオレンジ色っぽい星はアンタレスです。
アンタレスは1等星で、都内からでも見れます。
それ以外にも多くの2等星や3等星が連なっていて、夜空の中でも特に目立つ存在です。
ですが、そんなさそり座の見頃は11月ではなく5月なんです。
さそり座が11月ではなく5月に見れる理由
「さそり座は11月生まれの星座だから、11月の夜空に見えるのでは?」と思ってしまう方も多いかもしれません。
これは少し誤解を招きやすいポイントです。
確かにさそり座は黄道十二星座のひとつであり、占星術では10月下旬から11月下旬生まれの人を「さそり座」と呼びます。
しかし、天文学の世界では星座が「夜に見える時期」と「太陽の方向にある時期」は正反対になります。
どういうことでしょうか?
地球は1年かけて太陽のまわりを公転していますが、そのために太陽の背景として通過していく星座が季節ごとに変化していくのです。
そして、太陽がちょうどさそり座の方向に位置するのが毎年11月頃になります。
つまり11月には、昼間の太陽がさそり座の方向にあるということです。
夜になっても地球の反対側に向かっているため、夜空にさそり座は現れません。
11月にさそり座を見ようと思ってもすぐ近くに太陽がいるので、眩しすぎて見れません。
太陽の強烈な光が背景の星座をかき消してしまうんですね。
その結果、さそり座が夜空に現れるのは太陽がその反対側に移動する半年前後の3月から7月くらいになります。
特に5月は、ちょうど0時くらいにさそり座が南に位置するベストシーズンです。
一晩中さそり座を見ることができます。
3月では4時くらい、7月では20時くらいに見れます。
夜ふかししたくない場合は7月が狙い目かもしれませんね。
さそり座の見つけ方
さそり座は明るい星が多く、非常に特徴的な形をしています。
なので「夜空で最もそれっぽく見える星座」とも言われます。
赤く輝く1等星アンタレスを中心に胴体から尾、毒針まで、サソリの姿を思わせるような星の並びが続く姿はまさに夜空のアートです。
ただしさそり座は南の低空に広がる星座であるため、観察には少しだけ注意が必要です。
まずは南が開けた暗い場所に行きましょう。
都市部の街明かりではさそり座の光がかき消されてしまいます。
また、南の視界が遮られているとさそり座が見えません。
場所選びにはこだわりましょう。
さそり座を見つけるための最大のヒントは胴体に位置する赤い1等星アンタレス (Antares) です。
アンタレスは火星のように赤みがかった色をしており、透明度の高い空であればすぐに見分けがつく特徴的な星です。
本州では最大でも30°前後までしか上がらず、かなり低い星です。
アンタレスを見つけたら、その上下に星が連なり、上部はサソリの頭、下部には尾と毒針がカーブを描くように広がっているのが見えると思います。
この尾の部分が非常に低空にあるため、南の地平線までしっかりと開けた場所でないとさそり座全体の姿は見えません。
住宅地などではビルや家、樹木などによって尾の部分が隠れてしまい、サソリの姿をはっきりととらえるのが難しいこともあります。
また、さそり座は低空にあるので花粉や黄砂、PM2.5が飛んでいるような日にはほぼ見えなくなってしまいます。
もちろん空が暗い場所を選ぶのも大切ですね。
そのため、南の地平線が大きく開けた暗い場所を選ぶことが何より大切です。
具体的には
- 山の上(南側に視界が広い山頂や高原)
- 海沿い(南に向かって海が広がる岬や浜辺)
- 開けた高原地帯や農地の端
などがおすすめです。
狙い目はやはり梅雨前の5月でしょう。
5月であれば透明度がよく、さそり座の姿がはっきり見えると思います。
ただ、アンタレスは月の通り道が近いので月が近くに直撃してくる日もあります。
そんな日には月の光が眩しくてさそり座は見れません。
新月の日前後を狙って見に行くといいでしょう。
また、最近ではスマホの星座アプリ (Sky Guide など) を使えば現在の星空にさそり座がどの位置にあるかがすぐに確認できます。
空にかざすだけで分かるため、星座探しがぐっと簡単になります。
よければ使ってみてください。
実際のさそり座の写真
ここでは私が実際に撮影したさそり座の写真を紹介します。

これは3/1に野辺山で撮った夏の天の川です。
右側にちょこんとさそり座が写っていますね。

これです。
星がひとつ隠れてしまっていますが、3月でもここまで見ることができます。

これは5/4に城ヶ島で撮った夏の天の川です。
雲がかかっていますが、さそり座がちゃんと写っていますね。

赤色がさそり座で、オレンジ色がいて座の南斗六星です。
かなり低い位置にいるので南の空が見渡せる場所で見てみてください。
まとめ:5月にさそり座を見に行こう!
ここまでさそり座の魅力を書いてきました。
「さそり座=11月」というイメージがありますが、実際のさそり座は5月が見頃なんです。
5月になったら「さそり座見に行こうかな」と考えてみるのもいいでしょう。
私もさそり座を初めて見たとき、すごく感動しました。
さそり座は低いので見る場所を選ぶ必要がありますが、それでも見る価値があるでしょう。
機会があればさそり座を見てみてください。
では。