星の見かた

南半球で天の川が見れる時期は?おすすめは6月前後!

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日本では夏の風物詩とも言える天の川。

ですが南半球ではどう見えるのでしょうか?

実は、南半球では天の川の「本体」とも言える銀河中心が日本よりもずっと高く昇ります。

そのため、北半球よりも壮大な天の川を眺めることができるのです。

そこで今回は南半球で天の川が見られる時期や、特におすすめの「6月前後」について詳しく解説します。

星空観賞や天体写真の計画を立てている方はぜひ参考にしてみてください。

そもそも天の川ってなに?2種類の天の川を知ろう

夜の星空を見上げたとき、ぼんやりと白く光る帯のようなものが見えることがあります。

これが「天の川」と呼ばれるもので、実は私たちが住んでいる銀河系(天の川銀河)を内側から見た姿なんです。

銀河系は約2000億個以上の星々からなる巨大な円盤構造をしていて、私たちはその中の一部に位置しています。

そのため、円盤を内側から見たときに星々が密集して白い帯のように見えるのです。

特に南半球の天の川には、見る時期によって印象が大きく異なる2つのタイプが存在します。

ひとつめは、みなみじゅうじ座やケンタウルス座の方向に見える白っぽく淡い天の川です。

こんな感じです。

*これから使う画像はすべて星図アプリ Sky Guide からとっています

この方向は銀河中心から離れていて、星の密度もやや低めです。

そのため、淡くて優しい印象を受けることが多いです。

南半球で春から初夏(現地の秋から冬)にかけて見られ、天を南北に貫くようにすっと流れる白い帯が特徴です。

この季節には南十字星が天高く上がります。

明るくて目立つのですぐ見つけられると思います。

そしてもうひとつは、いて座やさそり座の方向に見える濃くて立体的な天の川です。

こんな感じです。

北半球では水平線すれすれだったさそり座が、南半球では真上まで昇ってきます。

すごいですね。

この方向には銀河の中心部があるため星の密集度が非常に高く、さらにガスや星雲なども多く含まれています。

その結果天の川がもくもくと立ち上るように見えるほど濃く、ドラマチックな姿を見せてくれるのです。

写真映えするのもこの方向で、プロの天体写真家たちもこぞってこの銀河中心付近を狙います。

つまり、天の川と一言でいっても見る時期によって全く違う表情を見せるのです。

南半球ではどちらの方向も高く昇るため、淡く繊細な天の川と濃く壮大な天の川の両方を楽しむことができます。

まさに南半球は天の川観察に最適な場所ですね。

では、なぜ6月が天の川観察に最適なのでしょうか?

6月が天の川観察に最適な理由

南半球で天の川を観察するなら、ベストシーズンはずばり6月です。

理由はいくつかありますが、最も大きなポイントは「夜の時間が最も長い時期にあたる」という点です。

北半球では6月21日頃が夏至で、一年のうちで最も昼の時間が長く、夜が短くなります。

ところが地球の反対側である南半球ではこの日が冬至にあたり、一年でもっとも夜が長くなるタイミングなのです。

つまり6月の南半球は日没が早く、日の出が遅いんですね。

たとえばニュージーランドのテカポ湖であれば、6月下旬は19:00から6:00までずっと深夜です。

11時間も真っ暗な時間が続きます。

たっぷりとした夜の時間が確保できるため、天の川観察にも撮影にも最適な時期というわけです。

さらに特筆すべきは、淡い天の川から濃い銀河中心までが一晩で楽しめるということです。

例えば夕方、日が沈んだ直後(19時くらい)にはケンタウルス座やみなみじゅうじ座方向の天の川が空高く輝いています。

このあたりの天の川は星の密度が比較的低く、やわらかい白い帯のように淡く広がります。

まるで夜空にかかった雲のような幻想的な姿です。

そして夜が深まるにつれて、さそり座やいて座を中心とした銀河中心領域が東の空からゆっくりと昇ってきます。

この銀河の中心部には暗黒帯や星雲、ガス雲などが密集していて、まさに天の川の本体とも言える濃さと立体感を持っています。

深夜にはこれが南中し、空の真上近くに堂々と横たわるのです。

そしてさらに、夜明け前の5時くらいには小マゼラン雲が天高く昇ってきます。

大マゼラン雲も楽しめるでしょう。

夜空にぽつんと雲のように浮かんでいるのが見えたら、それが大マゼラン星雲(もしくは小マゼラン雲)です。

つまり6月の夜は、天の川の始まりから終わりまでを一晩かけてフルコースで堪能できる、まさに特別な時期なのです。

天体写真家たちがこぞって南半球の6月を狙うのも納得ですね。

天候さえ良ければ、一晩で一生ものの体験ができる季節と言えるでしょう。

注意点

ここでいくつか注意点を紹介します。

月が出ていたら天の川が台無しに…

南半球で6月前後の長い夜を迎え、天の川観察に最適な条件が整っていたとしてもひとつ天敵がいます。

それが月明かりです。

天の川は無数の微細な星々やガス、星雲が集まって光っている極めて淡い天体です。

そのため、空がほんの少し明るいだけでも一気に見えづらくなってしまいます。

中でも最も強力な自然の光害が月です。

満月の明るさは非常に強く、光害のない山奥でも強い影ができるほどです。

この月が空に出ているだけで濃いはずの天の川もぼんやりとしか見えなくなり、淡い部分にいたっては完全にかき消されてしまいます。

たとえ南半球で空気が澄んでいても、月が出ていれば台無しなのです。

特に6月は南半球では冬至にあたるため夜が長く、月の動きが観察に大きな影響を与える時期でもあります。

たとえば満月の前後だと宵のうちから明け方までずっと月が空に出ている日も多く、これではせっかくの濃い銀河中心もほとんど見られません。

逆に、新月前後のタイミングであれば月は空にいないか、出てきても明け方直前などに限られるので夜の大半を暗い空で楽しむことができます。

天の川の観察・撮影を目的とした旅行や遠征を計画する場合は、必ず月齢カレンダーを確認することが重要です。

中でも、特に私がおすすめするのは新月と前後3日間(合計7日間)です。

この期間は月の光の影響がほとんどなく、天の川がくっきりと空を横断する壮大な景観が楽しめます。

南半球の天の川は本当に圧倒的な美しさを誇りますが、それはあくまで月のない夜に限った話です。

逆に言えば、月さえ避ければ最高の星空を見ることができます。

月齢チェックは天の川観察において欠かせない下準備のひとつといえるでしょう。

チリに行くならアタカマ砂漠一択。中部や南部は雨季の最中

南半球で天の川を観察する旅先として、世界中の天文ファンや写真家たちが憧れる場所――それがチリのアタカマ砂漠です。

南米大陸の太平洋側に位置し、標高2000から3000mの高原地帯に広がるこの砂漠は地球上で最も乾燥した場所として知られています。

アタカマ砂漠の最大の魅力は、驚異的な晴天率と透明度です。

1年のうち300日以上が快晴とされ、しかも空気中の水蒸気が非常に少ないため大気の揺らぎや散乱が少なく、まるで宇宙そのものを肉眼で見ているかのような澄んだ夜空を体験できます。

ESO(ヨーロッパ南天天文台)をはじめ、世界中の研究機関が巨大望遠鏡をこの地に設置していることからもその凄さがうかがえるでしょう。

では、チリのどこに行っても同じような星空が見られるかというと実はそうではありません。

6月前後というのは南半球では冬にあたる季節で、チリ中部(サンティアゴ周辺)や南部(パタゴニア地方)では雨季の真っ最中なんですね。

この地域では冬になると低気圧の通過が増え、曇天や雨、雪の日が多くなります。

つまり、せっかくチリまで行っても場所を間違えると星空どころではないという事態になりかねないのです。

その点、アタカマ砂漠は例外です。

アンデス山脈と太平洋の間に挟まれたこの地域は年間を通して極端に乾燥しており、冬でもほとんど雨が降らないという特異な気候を持っています。

6月であっても快晴が続き、夜には天の川がくっきりと空を横断する幻想的な光景を楽しむことができます。

もしあなたが「チリで天の川を見たい」と考えているなら、目的地は迷わずアタカマ砂漠一択です。

場所選びを間違えると、「せっかく苦労してチリまで行ったのに空一面雲だった…」となる可能性があります。

旅の成功を左右するのは場所と天候です。

チリという国の中でも、星を狙うなら断然アタカマ砂漠。

アタカマ砂漠は世界の天文学者たちも認める、最強の星空スポットなのです。

あと、チリでは英語はほとんど通じません。

最低限のスペイン語のフレーズだけでも覚えていくと安心感が違います。

6月は現地では真冬。やりすぎなほどの防寒対策を

南半球で天の川が最も美しく見える6月。

実はこの時期、現地では真冬のど真ん中にあたります。

日本の6月といえば梅雨の蒸し暑さを思い浮かべるかもしれませんが、チリやオーストラリアの内陸部ではまったく状況が異なります。

「6月=夏」という感覚のまま訪れると、想像を超える寒さに打ちのめされることになります。

たとえばチリのアタカマ砂漠は、標高が2000から3000mもある高原地帯です。

昼間は20℃近くまで気温が上がることもありますが、夜間は氷点下5℃以下にまで冷え込むのが普通です。

ときには-10℃まで下がります。

しかも乾燥しているため、体感温度はさらに低く感じられます。

風が吹けば、防寒が不十分な状態では数分で体の芯まで冷え切ってしまいます。

それでは天の川の観察どころではないですね。

また、オーストラリアやニュージーランドでも内陸部や高地では朝晩の冷え込みが非常に厳しく、天の川の観察や撮影で数時間屋外にいるのは命がけに近い環境になることもあります。

そのため、南半球で6月に星空を狙うなら「ちょっとやりすぎかな?」と思うくらいの防寒対策をしていくことが大切です。

たとえば

  • ヒートテックなどの発熱インナーを上下とも着用
  • 厚手のダウンジャケット+ウィンドブレーカーの重ね着
  • 裏起毛のズボンまたは防寒ズボン+レッグウォーマー
  • ネックウォーマー・ニット帽・手袋は必須
  • 撮影や観察に集中するならカイロやポータブル電熱ベストもおすすめ

また、天の川を撮影するなら結露対策は最重要項目です。

せっかくの絶景も、寒さで震えていれば楽しむどころではありません。

快適さ=観察時間の長さに直結するため、防寒は我慢ではなく準備で乗り切りましょう。

寒さを制す者が、南半球の最高の星空を制す。

そう言っても過言ではない季節が6月なのです。

ツアーによっては行動制限も。星空目的ならちゃんと調べよう

南半球への旅行というと、多くの人が現地のオプショナルツアーやパッケージ旅行を検討するでしょう。

確かに言葉の壁や土地勘のなさを考えると、ツアーに参加するのは安心で便利な選択肢です。

しかし星空を見ることが主な目的であるならば、ツアー選びには特に慎重になる必要があります。

というのも、一般的な観光ツアーでは行動時間や場所に制限があることが多く、星空観察に適した時間帯に自由に動けない場合があります。

たとえば星空保護区として有名なニュージーランドのテカポ湖でも、多くのツアーは夜10時ごろには解散し、以降はホテルに戻ってしまうことがほとんどです。

しかし、天の川が南中して本格的に見応えが出てくるのは深夜0時ごろなんですよね。

その時間帯に外に出られないとなると、せっかくのチャンスを逃すことになります。

また、チリのアタカマ砂漠では星空ツアーが行われる場所や施設が事前に決められており、「ここに三脚を立ててはダメ」「この時間には撤収してください」などの厳しいレギュレーションがあることも珍しくありません。

団体行動ゆえに自由がきかず、「思い描いた構図で写真を撮れない」「そもそも長時間の撮影が許されない」ということもあります。

さらに、防寒装備や撮影機材の持ち込みが想定されていないライトなツアーだと現地で寒さや時間配分に苦しむ羽目になるかもしれません。

初心者向けのツアーでは「星空を10分ほど眺めて終わり…」という残念なケースもあるため、本格的に星を見たい・撮りたい人には不向きです。

したがって、星空観察や天体写真が旅のメインである場合は「ツアー参加型」か「個人手配型」かを事前にしっかり検討し、ツアー内容を細かく確認することが極めて重要です。

自由時間がどれくらいあるのか、観察場所に制限はないか、機材持ち込みは可能か――これらをチェックするだけで、旅の満足度は大きく変わります。

星空は「見るだけ」で終わらせるにはもったいないほどの絶景です。

可能であれば撮影できたら一生の思い出になります。

行動の自由度も、天の川観察の大切な要素のひとつなのです。

ただ、ツアーに参加しないなら最低限の英語(もしくはスペイン語)を勉強していったほうですね。

高原では高山病に注意。体調が悪くなったら無理しない

南半球で美しい天の川を撮影・観察できる絶好のスポットとして知られるのが、チリのアタカマ砂漠やボリビアのウユニ塩湖などの高原地帯です。

これらの地域は標高が3000m以上に達する場所が多く、空気が澄んでいて光害も少ないので星空観測には理想的な条件が整っています。

しかし、忘れてはならないのが高山病(高地障害)のリスクです。

高山病とは、高地における酸素濃度の低下によって引き起こされる身体的な不調のことです。

症状は人によってさまざまですが、一般的には以下のようなものがあります:

  • 頭痛・吐き気・食欲不振
  • 動悸・息切れ・倦怠感
  • 睡眠障害・めまい・集中力低下

標高が2500mを超えるとこれらの症状が出る可能性が高まります。

特に日本のような海抜の低い地域からいきなり飛行機で高地に移動した場合、体が順応する前に一気に酸素不足にさらされることになるため、症状が突然出ることも少なくありません。

時差ボケと重なるとさらなる体調不良に襲われることもあります。

星空観察や天体写真は深夜に長時間屋外で過ごすことが多く、気温も氷点下近くまで下がるので体にかかる負担は予想以上に大きくなります。

その状態で高山病が重なると楽しい天の川観察どころではなくなるばかりか、重症化すると命に関わることもあるので決して油断してはいけません。

体調が優れないと感じたら、「せっかく来たのだから」と無理をするのではなくすぐに休憩するか、標高の低い場所へ移動する判断が重要ですね。

また、出発前には高山病対策として以下のような準備をしておくと安心です:

  • 初日は無理な行動を避け、体を順応させる
  • 水分をしっかり摂取し、脱水を防ぐ
  • 食事は軽めにし、アルコールは控える
  • 必要に応じて*(高山病予防薬)などを医師に相談する

せっかくの星空旅を安全で楽しいものにするためにも、「健康第一」の意識を忘れずに。

星は逃げませんが、体は壊れてしまうことがあります。

無理のないスケジュールと、体調に素直になる勇気が南半球の夜空を心から楽しむ鍵になります。

ギチギチなスケジュールはやはりよくないですね。

「夜は徹夜で星空観察、昼間は現地の風景めぐり」なんてやっていると体調を壊して病院送りになってしまいます。

睡眠はしっかりとりましょう。

おすすめの撮影機材

ここでは「天の川を撮影したい」という人向けに、おすすめの機材をいくつか紹介します。

カメラ

天の川はスマホでも撮れますが、ガチで撮るならカメラはあったほうがいいです。

少し高いですが、南半球にはそう多く行けるものではありません。

スマホではうまく撮れない場面も多いので、カメラを持っていくといいと思います。

おすすめは Nikon Z6II です。

最新機種の Nikon Z6III は価格が高すぎる割にそこまで Nikon Z6II と違いがないので、Nikon Z6II をおすすめします。

詳しくはこちらの記事をどうぞ。

レンズ

カメラと同じくらい大切なのがレンズです。

安物レンズでは星の形がぐにゃぐにゃになったり、星の周りに紫色のハロが発生したりします。

それではせっかくの天の川も台無しですね。

そこで私がおすすめするのが NIKKOR Z 20mm f/1.8 S です。

Nikon Z6II の純正レンズで、化け物みたいにシャープなレンズです。

少し高いですが、f1.8でも十分使えるレンズはそう多くはありません。

詳しくはこちらの記事をどうぞ↓

三脚

天の川の写真を撮るとき、手持ちで撮ってはいけません。

理由は、暗い場所だと10秒以上シャッターを開けていないといけないからです。

なので手で持つと星がブレブレになって大変なことになります。

必ず三脚も持っていきましょう。

おすすめはVelbonのUT-3ARです。

この三脚は驚くほどコンパクトで、畳めばペットボトル1本くらいの大きさになります。

スーツケースやリュックサックの隙間に忍ばせられるので非常におすすめです。

詳しくはこちらの記事でどうぞ↓

レンズヒーター

また、忘れてはいけないのがレンズヒーター(レンズを温める装置)です。

6月は南半球では真冬なので、レンズヒーターがないと一瞬でレンズが結露して台無しになります。

なので必ずレンズヒーターを持っていきましょう。

3000円くらいで買えるのでそこまで高くありません。

必ず持ってったほうがいいですね。

詳しいことはこの記事で解説しています↓

最後に

ここまでで色々と書いてきました。

たしかに南半球まで行くのは大変ですが、日本では絶対に見られない景色が待っています。

とくに南十字星や大マゼラン雲は本州からは絶対に見ることができません。

真上に広がる天の川を見たいと思ったら、ぜひ南半球に旅してみてください。

きっと一生の思い出になるでしょう。

では。

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