星の見かた

天の川は冬でも見れる?冬の天の川の位置と探し方

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「冬って天の川見えないんじゃないの?」

そんなふうに思っている方は多いかもしれません。

ですが実は、冬でも天の川はちゃんと空にあります。

ただし夏のような迫力ある天の川とは違い、冬の天の川はとても淡く気づきにくいのです。

なので注目されないだけであって、探せば冬にも天の川を見ることができます。

そこで今回、この記事では冬に天の川が見える理由や、冬の天の川の位置・探し方・見えやすい時間帯などを詳しく解説します。

冬でも天の川は見える?

「天の川」という言葉から多くの人が思い浮かべるのは、夏の夜空に弧を描いて立ち上る、あの濃くて迫力のある光の帯ではないでしょうか。

たしかに夏の天の川はとても明るく写真でも美しく写るため、天の川は夏の風物詩と思われがちです。

しかし実は天の川は夏だけのものではなく、春以外は一年を通じて夜空に存在しています。

冬の夜空にもちゃんと天の川は流れているのです。

ただし冬の天の川は夏と比べて非常に淡く、場所によってはほとんど気づかれないほど目立ちません。

なので、田舎の中でも特に暗い場所でなければ冬の天の川を見ることはできません。

これは私たちが住んでいる銀河系(天の川銀河)の構造と深く関係しています。

夏の天の川は銀河系の中心方向(いて座方向)なので星の密度が高く、ガスや星雲も集中しているので明るく濃い帯として見えます。

一方、冬の天の川は銀河の外縁部(ふたご座・いっかくじゅう座方向)を見ていることになります。

そこは星の密度も低く明るいガス雲も少ないため、全体的にのっぺりとした淡い光の帯にしか見えないのです。

なので冬の天の川は見えないと思われがちですが、実際には存在しています。

本当に空の暗い場所で注意深く探せば、肉眼でも冬の天の川を見ることができます。

実際、私は11月や2月の野辺山で冬の天の川を肉眼で見ることができました。

特に空気が澄んだ冬の夜は、条件さえ整えば天の川が浮かび上がることもあります。

見えにくいけれど見えないわけではない。

それが冬の天の川の正体です。

冬の天の川の位置はどこ?

冬の夜空にも天の川は確かに存在します。

ただしその姿はとても淡く、星に詳しくない方にはまるで何もないようにすら感じられてしまうかもしれません。

では、そんな冬の天の川はいったい空のどこに広がっているのでしょうか?

その答えは、ぎょしゃ座からおおいぬ座にかけての領域です。

ぎょしゃ座の一等星カペラと、おおいぬ座の明るい星シリウスを目印にするといいでしょう。

天の川はほぼ一直線に夜空を貫いています。

北東の空に高く昇るぎょしゃ座(カペラが目印)から始まり、ふたご座、いっかくじゅう座、おおいぬ座(シリウス)へと続いて、南の空へ流れていきます。

いっかくじゅう座は非常に暗く見えづらいですが、オリオンのすぐ東(右)と覚えておくとわかりやすいでしょう。

オリオン座は冬の天の川から少し外れた位置にいるんですね。

肉眼でこの銀河帯を見つけるのは容易ではありませんが、星座の位置をたどっていくことでその流れを感じることができるでしょう。

ぎょしゃ座は天高く上がるのでぎょしゃ座付近(カペラのあたり)に注目すると冬の天の川が見れると思います。

冬の天の川を見つけるコツ

冬の天の川はたしかに夜空に広がっています。

しかし夏のように一目で「これが天の川だ!」と分かるような派手さはなく、夜空に慣れていないとその存在すら見逃してしまうほど淡く繊細です。

だからこそ冬の天の川を見つけるには、いくつかのコツと準備が必要です。

天体観察初心者の方でも天の川を発見しやすくなるためのヒントをいくつか紹介します。

光害の少ない場所へ行く

冬の天の川は光害の影響をモロに受けます。

都市部や郊外の空では、冬の天の川を肉眼で確認するのはほぼ不可能でしょう。

できれば光害レベルがBortleスケールで3以下の場所(山間部や高原など)がおすすめです。

月明かりのない夜を選ぶ(新月前後)

天の川のような淡い光の帯はほんの少しの光でもかき消されてしまいます。

特に月明かりは強烈で、満月前後の夜には冬の天の川はまず見れません。

そのため、新月の前後3日間くらいの期間を狙うのがおすすめです。

月が出ていても、深夜に沈むならその時間帯を狙いましょう。

星座を手がかりに目を慣らす

いきなり天の川を探そうとしても、見慣れない冬の空では方向が分からなくなりがちです。

まずはぎょしゃ座のカペラやオリオン座、シリウスなどの明るい星を探して位置を把握しましょう。

そこからぎょしゃ座からおおいぬ座にかけて、ぼんやりとした星の密集帯や淡いもやもやのような構造が見えてきたら、それが冬の天の川です。

星図アプリを使う

スマホの星座アプリ(Sky Guide など)を活用すれば、今どの方向に天の川が流れているかがひと目でわかります。

アプリの設定で「Milky Way (銀河帯)」を表示すれば、地上の風景と照らし合わせて観察できるので冬の淡い天の川を追う強い味方になってくれます。

肉眼で見えなくても「いる」と信じる

冬の天の川は想像以上に淡いです。

重要なのは、たとえ肉眼で見えなくてもそこに天の川はあるという意識を持つことです。

夏の天の川のような「はっきり見える」天の川とは違い、冬の天の川は空が暗く澄んでいても「なんとなく、モヤっとしてるような…?」くらいの印象にしかならないことも多いです。

ですが一眼レフやミラーレスカメラ、あるいはスマホの長時間露光で撮ると、もやもやと写ることがほとんどです。

肉眼の観察と並行して、広角レンズで空を撮ってみるのもおすすめです。

冬の天の川の写真

私が撮影した冬の天の川の写真をいくつか紹介します。

中央のアンテナとほぼ平行に走っている、淡いもやもやが冬の天の川です。

「なんとなくいるのがわかる」程度ですよね。

冬の天の川はかなり淡いので見れたらラッキーです。

左上の明るい星がカペラです。

そこらへんにもやもやしてるのがわかりますね。

いっかくじゅう座やおおいぬ座あたりは角度が低く、なかなか見れないのでぎょしゃ座あたりを探すといいと思います。

本当に冬の天の川を写真にしっかり写したいのであれば、複数枚撮影してあとで重ねるのが一番いいと思います。

冬の天の川は淡いのでノイズに弱いです。

最後に

ここまで冬の天の川について解説してきました。

冬の天の川は非常に淡く、肉眼どころかカメラでも写すのがやっとです。

ただ、本当に空が暗い場所であれば肉眼でも見ることができます。

もしよければ野辺山に行ってみてください。

天の川を見ることができるはずです。

では。

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