星の見かた

惑星直列とは?何年に一度起きる?次はいつ?過去の惑星直列も紹介!

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この前書いた惑星直列の記事がトレンドに乗ったようで、1日で900回くらいクリックされていました。

「惑星が一直線に並ぶ」という現象に興味を持った人が多いみたいです。

というわけで、今回は

  • 惑星直列ってなに?
  • 何年に一度起こるの?
  • 過去の惑星直列はいつだった?
  • 次の惑星直列は?

といった疑問に答えていきます。

*この記事を書いた私のプロフィールはこちら↓

そもそも惑星直列ってなに?

「惑星直列」という言葉は天文学の専門用語のように聞こえますが、実は厳密な定義は存在しません。

一般的には、地球から見て太陽系の複数の惑星がある一定の角度内に収まって並んで見える現象のことを指します。

辞書や教科書に「惑星直列はなん度以内のこと」といった公式な基準があるわけではなく、ニュースや天文ファンの間で使われるときも条件や解釈は微妙に異なります。

ここでいう「ある一定の角度」というのは、観測者によってかなり差があります。

厳しめに定義する場合は90°以内、ゆるやかに定義する場合は120°程度までを直列と呼ぶこともあります。

角度が小さいほど「きれいに一直線に見える」ので映えますが、そのぶん発生頻度は減ります。

「惑星全部が一直線に並ぶこと」という定義もあるみたいですが、そんな現象は長い歴史の中でもほとんど起きていません。

大切なのは、この現象が地球から見た見かけの並びであるということです。

実際の宇宙空間では惑星同士は何億キロメートルも離れていて、物理的に一直線上に並んでいるわけではありません。

地球からの視線方向が偶然重なった結果、夜空で「一列に集まっているように見える」だけなんですね。

そしてもうひとつ重要な条件があります。

それは、太陽がその並びから離れた位置にいなければならないということです。

なぜなら、もし惑星の並びが太陽のすぐ近くに位置していたら、昼間の明るさにかき消されて惑星たちを肉眼では観察できないからです。

水星や金星のような内惑星はそもそも太陽の近くに見えるため、観測できるのは日の出直前や日没直後のわずかな時間帯に限られます。

太陽から離れた位置に惑星直列が起きる場合、明け方や宵の空で複数の惑星が同時に輝く様子を長く楽しむことができます。

たとえば2022年6月に話題になった「7惑星直列」では、水星・天王星・金星・火星・木星・海王星・土星が夜明け前の東の空に順番通りに並びました。

これがこのときの様子です↓

星図アプリ Sky Guide でシミュレーションしました。

黄色い線は黄道です。

私は見損ねましたが、肉眼でもはっきりと観察できたみたいですね。

このときは惑星たちがが太陽から適度に離れた位置にあり、さらに地球からの視線方向にきれいに収まっていたため起きた現象です。

このように、惑星直列とは「地球から見て角度がそろうこと」「太陽のまぶしさに邪魔されないこと」という2つの条件が重なってはじめて私たちが目にすることのできる、貴重な天体ショーなのです。

水星は観察できる機会が非常に少ない

惑星直列のニュースや星図を見ると、必ずと言っていいほど名前が登場するのが水星です。

しかし、実際に空で水星を見たことがある人は意外と少ないのではないでしょうか。

これは単に見逃しているわけではなく、水星自体が太陽との位置関係のせいで見えづらいんです。

水星は太陽系の最も内側を公転していて、公転周期はわずか88日ほどです。

金星の225日や地球の365日に比べて非常に短く、太陽から見た角度が最大でもおよそ28°しかありません。

水星はいつも太陽のすぐ近くにいるので夜の真っ暗な時間帯に高く昇ってくることは絶対にありません。

このため、私たちが水星を観察できるのは日の出直前の東の空、または日没直後の西の空に限られます。

しかしこの時間帯は空がまだ明るく、しかも地平線付近にしか見えないので視界の開けた場所でないと見つけにくいです。

ビルや山、木々などの障害物が少しでもあれば見ることができなくなってしまいます。

さらに、水星は公転が速いので観察できる期間も非常に短いのが特徴です。

見やすい時期(太陽から最も離れた角度に来るとき)でも1週間ほどで条件が大きく変わってしまい、あっという間に太陽の方向へ戻ってしまいます。

特に天候に左右される日本では「今週末は見よう」と思っても曇りや雨でチャンスを逃すことがよくあります。

惑星直列に水星が含まれている場合、さらに観察が難しくなるでしょう。

惑星直列が日の出直前に見られるとき、水星は東の空のごく低い位置にあって空が明るくなる直前のわずかな時間しか見られません。

ときには全く見られない場合もあります。

夕方の場合も同様で、日没後の薄明の中ですぐに沈んでしまいます。

こうした条件から、惑星直列のすべての惑星を写真や肉眼で一度に見るのは至難の業です。

それでも水星を見つけられたときの感動は大きく、「太陽系で最も内側にある惑星を自分の目で見た」という特別感があります。

観察する際は太陽と水星の離角や高度が高めになる日を事前に調べ、ビルや山の少ない方角を選びましょう。

離角は以下のページで計算できます↓

水星を見つけようと双眼鏡や望遠鏡を使う人がいますが、かなり危険な行為です。

水星は太陽に近く、特に日の出前の東の空では「気づいたときに太陽が出ていた」という事態になることがあります。

太陽を双眼鏡や望遠鏡で直接見ると失明するおそれがあります。

絶対にやめましょう。

惑星直列は何年に一度起きる?

惑星直列と一口にいっても、その規模や条件によって発生頻度は大きく違ってきます。

実は「何年に一度」という言い方はあまり正確ではなく、並ぶ惑星の数や並び方の厳しさで頻度が大きく変わるのです。

惑星直列は周期的に起きるものではなく、バラバラに起こるものだからです。

ここでは一般的な傾向をわかりやすく解説します。

まず、もっとも頻繁に見られるの4つの惑星が並ぶ「ミニ惑星直列」です。

水星・金星・火星・木星、あるいは金星・火星・木星・土星といった組み合わせで空の同じ方向に収まって見える現象です。

これは地球から見たときの並びの条件が比較的ゆるく、最低でも1年に1回くらいは発生します。

天気さえ良ければ肉眼や双眼鏡で気軽に楽しめるため、天文初心者にもおすすめです。

次に、5つの惑星が一度に並ぶ現象もあります。

これはニュースやSNSで話題になることが多く、見応えも十分です。

この規模の直列は5年に数回程度と、4惑星よりは少ないものの天文ファンなら狙いやすい部類です。

ただ、2026年には1年間に5惑星直列が3回も起きます!

詳しい情報はこちら↓

ぜひ見逃さないようにしてください。

さらに珍しいのが6惑星直列です。これは内惑星(水星・金星)と外惑星(火星・木星・土星・天王星など)が同時に並ぶため、地球から見えるタイミングは限られます。

条件がそろうのは20年に数回程度で、運良く晴れた日に観測できれば非常に貴重な体験となります。

そして、もっとも希少なのが7惑星直列です。

これは太陽系の地球以外の惑星すべて(水星・金星・火星・木星・土星・天王星・海王星)が地球から見て同じ方向に集まる、まさに世紀の天体ショーです。

この規模になると条件は極めて厳しく、100年に数回ほどしか起きません。

歴史的な天文記録にも残るレベルの現象であり、生涯で一度見られるかどうかというほどの希少性を誇ります。

もちろんこれらはあくまで一般的な目安であり、惑星の並び方を何度以内とするかによって数字は変わります。

一般的には「肉眼で惑星が見渡せればよし」とするみたいが、角度を90°以内にするとさらに頻度が下がります。

つまり、「惑星直列は何年に一度?」という問いに対する答えは惑星の数・角度の基準・観測条件によって変わるのです。

それでも特に5惑星以上が集まるタイミングは希少です。

事前に予報をチェックし、チャンスを逃さないことが大切ですね。

過去の惑星直列はいつだった?

ここでは過去の7惑星直列を紹介します。

これから登場する画面はすべて星図アプリ Sky Guide からとったものです。

1982年3月10日

まず紹介したいのが1982/3/10の早朝に起きた惑星直列です。

シミュレーションするとこんな感じです。

7惑星がきれいに並んでいますね。

このとき、地球を含むすべての8惑星が太陽から見ておよそ90°の範囲内に収まっていました。

だからこんな綺麗な光景を見ることができたんですね。

2022年6月ごろ

次に紹介するのが、2022年6月ごろに見られた7惑星直列です。

この記事の最初のほうで紹介した写真ですね。

ただ、この時期には冥王星も現れていました。

これほどまでの世紀の天体ショーは稀ですね。

見れた人はラッキーです。

2025年2月28日

2025年にも惑星直列が見られました。

2025/2/28の18:00をシミュレーションしてみました。

このように、7惑星が一斉に並んでいます。

ただ、土星は太陽に近く観察できなかったと思います。

太陽に近い惑星がいると見えづらくなるので、そう上手くはいかないですね…。

次に見れる惑星直列:2026年は5惑星直列が3回!

「惑星直列を見逃した…」という人に朗報です。

なんと、2026年には5惑星直列が3回も見れます。

それがこの3回です:

  1. 8月上旬 (水星、火星、天王星、土星、海王星)
  2. 9月下旬 (木星、火星、天王星、土星、海王星)
  3. 11下旬 (水星、金星、火星、木星、天王星)

詳しいことはこの記事でも書きました↓

ここでもさらっと解説します。

8月上旬 (水星・火星・天王星・土星・海王星)

2026年8月上旬の早朝、水星・火星・天王星・土星・海王星を見ることができます。

これがその時の位置です↓

9月下旬 (木星、火星、天王星、土星、海王星)

2026年9月下旬の早朝、木星・火星・天王星・土星・海王星を見ることができます。

これがその時の位置です↓

この惑星直列は月がいない深夜に見られるので、星景写真勢にはうれしいですね。

オリオン座も一緒に写るのがうれしいポイントです。

11下旬 (水星、金星、火星、木星、天王星)

2026年11月下旬の早朝、水星・金星・火星・木星・天王星を見ることができます。

これがその時の位置です↓

天王星だけおまけみたいな感じですが笑

特に明るい水星・金星・火星・木星が同時に見れるのは壮観です。

これも見逃せないですね。

最後に

今回は惑星直列について解説しました。

惑星直列は惑星が一斉に並ぶ、珍しいイベントです。

天気がよかったら早起き(または夕方の空を見る)して惑星たちの姿を見てみてください。

きっと一生の思い出に残ると思います。

では。

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