天体まとめ

アマチュアでも撮影できる銀河団を10種類紹介します

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「銀河団」とは、いくつもの銀河が重力で引き寄せられて集まっている銀河の大集団です。

銀河団というとすごく遠くて小さいイメージがありますが、中にはアマチュアでも撮影できるものもあります。

普通の星雲・銀河の撮影に飽きてきたら銀河団の撮影を始めてみてはいかがでしょうか。

というわけで、今回は有名な銀河団をいくつか紹介します。

銀河団のカタログ

銀河団を語るうえで外せないのがAbellというカタログです。

ジョージ・エイベル (George Abell) というアメリカの天文学者がまとめた銀河団のカタログで、4073個の銀河団が収載されています。

Abellカタログは銀河団のカタログで、銀河団を識別する際に非常に便利なので今回も使っていきます。

ここからは私が撮った写真を使って銀河団を紹介していこうと思います。

おとめ座銀河団

まず最初に紹介しなければいけないのはおとめ座銀河団です。

おとめ座銀河団は地球から最も近い銀河団で、視野角はおよそ10°ほどです。

満月の視野角が0.5°なのを考えると驚異的な大きさですね。

あまりにも近くて巨大な銀河団なのでAbellカタログに入っていません。

おとめ座銀河団の中心部には銀河が鎖のように並んでいる「マルカリアンの鎖」という天体があります。

この楕円や細長いものはすべて銀河です。

このマルカリアンの鎖はあくまでおとめ座銀河団の中心部であり、その周辺にも無数の銀河が転がっています。

マルカリアンの鎖から少し東に行くとこんな感じです。

ここにも銀河が無数に写っています。

アノテーションしてみましょう。

紫や赤の文字が振られている天体はすべて銀河です。

それ以外にも無数の銀河がいます。

おとめ座銀河団には2000個ほどの銀河が確認されていて、天文学的にも面白い対象です。

地球からの距離はおよそ5000万光年です。

マルカリアンの鎖は明るく、大きいので初心者向きです。

ぜひ望遠鏡で見てみてはいかがでしょうか。

見頃は春です。

かみのけ座銀河団 (Abell1656)

おとめ座のすぐ隣にあるかみのけ座にも巨大な銀河団がいます。

視野角は1°から2°ほどで、おとめ座銀河団ほど大きくはありません。

ですがかみのけ座銀河団は小さな楕円銀河が無数に集まっているのが特徴で、見た目的に面白いです。

こんな感じです。

地球からの距離はおよそ3億光年です。

都会から撮ったのであまり見栄えがしないですが、ネットで画像を検索してみてください。

きっと驚くと思います。

Space.com より

この写真はその一例です。

無数の銀河が重力に引き寄せられて集まっている様子がわかります。

暗いので眼視向きではありませんが、撮影や電子観望をしてみると面白いと思います。

見頃は春です。

しし座銀河団 (Abell1367)

知名度は低いですが、しし座にも銀河団があります。

詳しい位置はNGC3842で調べてみてください。

写真に撮るとこんな感じです。

小さな銀河が寄り集まっている様子がわかります。

地球からの距離はおよそ3億光年です。

そこまで迫力はないですが、形が面白い銀河がたくさんあって見ごたえがあります。

これもいつかは暗い場所から撮り直したい天体です。

見頃は春です。

うみへび座銀河団 (Abell1060)

しし座の下にはうみへび座が寝そべっています。

うみへび座は全天で最も面積が広い星座です。

そんなうみへび座にも銀河団があります。

ですが、うみへび座銀河団は南の空低くに上がってくるので撮影は難しいでしょう。

東京でも南中高度はたったの27°です。

それでも機会があったらぜひ撮影してみてください。

これは私が横浜市内から撮った写真です。

近くに明るい5等星があってフォトジェニックです。

いくつか楕円形のものが見えますが、すべて銀河です。

地球からの距離はおよそ1.5億光年と言われています。

中心部を拡大すると上みたいな写真になりますが、広角で撮るとこんな感じになります。

中心部の銀河が特に目を引きますが、その周辺にも無数の銀河が広がっています。

文字が振られている天体はすべて銀河です。

赤色がNGCカタログ、青色がPGCカタログを表します。

面白い銀河団なのでよければ撮ってみてください。

見頃は春です。

ヘルクレス座銀河団 (Abell2151)

ヘルクレス座は夏の星座で、こと座のベガの近くにいます。

そんなヘルクレス座にも銀河団があります。

こんな感じです。

地球からの距離は5億光年ほどです。

星以外のもやもやしたものはすべて銀河です。

特に右下には面白い形をした銀河が集まってますね。

ヘルクレス座銀河団は比較的若い銀河団だとされていて、銀河同士の衝突があちこちで起きています。

今度拡大して撮影するのも面白そうです。

アノテーションするとこんな感じです。

無数の銀河が集まっている様子がわかります。

吉田隆行さんが撮影されたヘルクレス座銀河団の写真はとても綺麗なのでぜひ見てみてください。

撮影する際はNGC6041を目印にするといいでしょう。

見頃は夏です。

かんむり座銀河団 (Abell2065)

ヘルクレス座の隣、かんむり座にも銀河団がいます。

かんむり座銀河団は知名度がまったくなく、撮影している人は検索した限り数人だけでした。

こんな感じです。

黄色い楕円形のものはすべて銀河です。

地球からの距離はおよそ20億光年と言われています。

近くにNGC天体がいないので、撮影する際は赤経赤緯を入力するしかありません。

調べてみてください。

見頃は夏です。

Abell194

Abell194はくじら座の銀河団です。

くじら座はうお座の隣にいる秋の星座です。

これは通称名がないですが、くじら座で最もNGC天体が集まっている銀河団だと思われます。

地球からの距離はおよそ2.5億光年。

NGC545で検索すると位置がわかります。

これもいつかは暗い場所から大口径の反射望遠鏡で撮影してみたい天体です。

見頃は秋です。

Abell347

アンドロメダ銀河で有名なアンドロメダ座にも銀河団があります。

楕円形のつぶつぶがたくさん写っています。

NGC910で検索すると位置がわかりやすいです。

近くにNGC891があり、一緒に写すとこんな感じになります。

右上がNGC891, 左下がNGC347です。

こうして一緒に写すと面白いですね。

地球からの距離は2.3億光年ほど。

見頃は秋です。

ペルセウス座銀河団 (Abell426)

流星群で有名なペルセウス座にも銀河団があります。

こんな感じです。

中心のNGC1275は活発な核を持つセイファート銀河です。

変光星のアルゴルのすぐ近くにあるので見つけやすいと思います。

地球からの距離はおよそ3億光年です。

こんな感じで、無数の銀河が寄り集まっています。

天の川の近くにいる銀河団なので多くの星が写っていますね。

見頃は冬です。

ろ座銀河団 (Abell S373)

くじら座の隣にあるエリダヌス座の南の低空、ろ座にある銀河団がろ座銀河団です。

南中高度が東京で19°ほどなので写真撮影はほぼ不可能でしょう。

沖縄に行けば撮影できそうです。

残念ながら私が撮った写真はありませんが、チリリモートを運用されている丹羽雅彦さんが撮影されたろ座銀河団の写真があります。

非常に綺麗な銀河団ですね。

沖縄や南半球に行く機会があれば撮影してみてください。

地球からの距離は6000万光年ほどで、案外近いです。

見頃は冬です。

というわけで、春夏秋冬の銀河団を10種類紹介してみました。

気に入ったものがあればぜひ撮影してみてください。

きっと銀河団の世界に沼るはずです。

では。

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