冬だというのに月が鬱陶しくてオリオン座が撮れていません。
満月前後は本当にストレスが溜まりますね笑
そんなこんなでおとめ座のマルカリアンチェーンを横浜市の自宅のベランダから撮ってみました。
正確にはM84とM86がマルカリアンチェーンの一員でM87は少し離れた位置にいるんですが、画角的に一緒に写ったので一緒に紹介します。
Contents
結果

Date: Dec 17, 2024
Location: @横浜市 (SQM 18.60)
Camera: ASI533MC Pro (Gain 100, -10℃)
Telescope: WO Redcat51 (FL 250mm, f4.9)
Mount: Kenko SEII-J
Guiding: SVBony SV165 (FL 120mm, f4), ASI120MM mini, ASIair Plus
Filter: Optolong L-Quad Enhance
Exposure: 90sec x99 (148.5min)
Processing: PixInsight, NXT, Lightroom
FWHM: 2.6155
カメラの回転角を間違えて写真が少し斜めってしまいました。
ですが銀河がいっぱい写ってたのでクロップせずにこのまま載せます。
それでもやっぱりf値が明るい鏡筒はいいですね。
Redcat51にいつも助けられています。
とはいえ、銀河は大体小さいので赤猫で撮れる銀河はたぶんアンドロメダ銀河とマルカリアンチェーンくらいでしょう。
実際、マルカリアンチェーンの見かけの大きさは96′(96分角)なので銀河団としては化け物並みの大きさです。
初めて系外銀河を撮る人にはとてもおすすめです。
私が秋に撮ったAbell194は米粒並みの小ささでした。
それに比べればマルカリアンチェーンは特徴的な銀河が多く写真栄えもします。
しし座とおとめ座とおおぐま座は銀河の宝庫なので春になったら撮りまくりたいと思います。
あと、カメラを ASI533MC Pro に変えてからはフラットが完璧に合うようになりました。
都会だというのにDBEは一切使っていません。
GradientCorrectionとABEで十分でした。
私のところだと23時を過ぎた頃から一気に光害が収まるので、深夜に天体写真を撮るのが一番いいです。
それでもマルカリアンチェーンが低空のときに撮った10枚の写真は捨てましたが。
ちなみに私のMacだとBXTがすごく遅いので今回は使っていません。
この星像だと使ってもたぶんそこまで変わらないでしょう。
アノテーション画像
マルカリアンチェーンはおとめ座銀河団の中にあり、系外銀河の宝庫です。
アノテーション画像をお見せしましょう。

紫色の文字がメシエ天体、赤色がNGC/IC天体、そして青緑色がPGC天体です。
これらはすべて銀河です。
ものすごい量ですね。
私もここまで文字が敷き詰められている光景は初めて見ました。
マルカリアンチェーンのメンバーのNGC天体は大きくて目を引きますが、その背後には米粒にしか見えないような系外銀河が無数に広がっているわけです。
私たちの住む天の川銀河にはおよそ2000億個の星があると言われています。
ここに写っている系外銀河ひとつひとつにもおよそ1000億個以上の星があると考えられます。
凄まじいスケール感ですね笑
特にこの写真の下側に写っている大きな銀河はM87で、天の川銀河よりも遥かに大きく1兆個ほどの星を含んでいると言われています。
さらにM87の中心には太陽質量の65億倍もの質量を持った、とんでもなく巨大なブラックホールがあると言われていますね。
そのブラックホールにはM87*の名前がついています。
2019年に有名になったEHT(Event Horizon Telescope)が公開したブラックホールの写真がまさにM87*です。
今まで観測された中で最も重い恒星の一つ、りゅうこつ座イータ星でも太陽質量の100倍程度なので、太陽質量の65億倍となると異次元の世界です。
もはや何がなんだか訳が分からないレベルですね。
おとめ座銀河団の総質量は太陽質量のおよそ 1.2 x1015 倍と言われているので、ものすごい質量を持った物体と言えます。
そのほとんどはダークマターらしいです。
銀河の話をしだすと止まらなくなってしまうのでとりあえずこのくらいにしておきましょう。
撮って出し

90秒露光の撮って出しです。
明るい銀河が多いのでこの時点で写ってますね。
とはいえ、銀河の淡いハロはこの時点では全く見えていません。
暗い場所でもっと露光するとさらにきれいな作品になるでしょう。
マルカリアンチェーンは私の大好きな天体なので野辺山で撮り直したいです。
では。