星景写真

星景写真と天体写真の違いとは?使うべき機材を解説

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星空撮影を始めたいと思っても「星景写真と天体写真って何が違うの?」と悩んでいませんか?

一見すると同じ夜空の撮影ですが、実は撮影対象・目的・必要な機材・難易度・処理工程など、すべてがまったく異なる2つの世界です。

この記事では初心者でも分かりやすく、星空撮影という大きなカテゴリの中にある星景写真と天体写真(ディープスカイ撮影)の違いを徹底的に解説します。

星空撮影とは?その全体像を理解しよう

星空撮影とは、カメラを使って夜空の星や天体を記録・表現する撮影ジャンルの総称です。

ただし、ここで言う「星空撮影」には大きく以下の2種類があります。

種類撮影対象目的難易度
星景写真星+風景芸術・構図重視初心者向け
天体写真(ディープスカイ撮影)星雲・星団・銀河など科学的・記録的上級者向け

簡単に言えば星景写真は夜空と風景を一緒に写す風景写真寄りの写真で、天体写真はNASAの画像みたいな夜空のクローズアップです。

この2つを混同すると、必要な機材や手法が大きく異なるためうまく成果が出せません。

まずはそれぞれの特徴をしっかり押さえましょう。

星景写真とは?地上と星空が織りなす幻想的な写真表現

星景写真とは星空と地上風景を同じ画面内に収める写真のことです。

よく海岸沿いに昇る天の川の写真とかありますよね。

あれが星景写真です。

観光地・建築物・山・海などとの組み合わせにより、旅×夜空のような構図が人気です。

特徴としては、

・カメラと三脚だけで撮影可能

・撮ったその場で結果がわかる

・風景や構図を活かす芸術的な表現ができる

・SNS映えしやすい(Instagramなどでバズりやすい)

といったものがあります。

最近は Google Pixel で星景写真を撮る人もいて、戦略次第ではスマホでも撮れるジャンルです。

使うべき機材

最低限の使用機材はこんな感じですね。

機材例(私が使っているもの)
一眼レフ/ミラーレスカメラNikon Z6II
広角レンズNIKKOR Z 20mm f/1.8 S
三脚Velbon UT-3AR
レリーズ or タイマーPholsy

もし星景写真を始めたいけど何も持っていない場合、予算に余裕があれば私と同じ機材を試してみてください。

中でもレンズは特に大切なのでいいものを選んでくださいね。

作例などは別の記事で紹介しています。

カメラの設定

星景写真で大事なのがカメラの設定です。

普段から写真を撮っている人でも、星景写真ではマニュアル撮影が基本となるので戸惑ってしまうかもしれません。

そこで私が普段使っている設定を紹介します。

項目設定値説明
F値(絞り)f1.8f値を最小にしてできるだけ多くの光を取り込む設定。星空撮影に理想的
シャッタースピード(SS)10秒星が線にならず、かつ十分な露出が得られる長さ(広角レンズ向け)
ISO感度ISO 3200暗い夜空でも星が写る高感度。場合によっては6400もあり

ここで最も注目すべきはシャッタースピードです。

赤道儀(星を追いかける機械)を使っていない場合、シャッタースピードが長すぎると星が線のように流れてしまいます。

肉眼では分かりづらいですが星は常に動いているので、できるだけ短いシャッタースピードで撮影する必要があるんですね。

焦点距離が20mmの場合は10秒くらいがおすすめです。

また、f値が小さいほどノイズが抑えられて星景写真で有利になります。

f値とシャッタースピードが足りないのにISO感度を無理に上げると、写真がノイズまみれになって星が見えづらくなるので注意しましょう。

星景写真の作例

実際に星景写真がどんな感じなのか、私が撮った画像をお見せします。

すべて NikonZ6II + NIKKOR Z 20mm f/1.8 S の組み合わせで撮ったものです。

天体写真(ディープスカイ撮影)とは?宇宙の深部を記録する高度な撮影

次は天体写真を紹介します。

天体写真とは望遠鏡を使って星雲・銀河・星団など肉眼では見えない天体を撮影するものです。

天文学的な知識と画像処理の技術も必要になる、奥が深い分野です。

撮影対象の具体例

天体写真は地上の風景を写さず、夜空の天体を拡大して撮影します。

無数にある天体から好きなものを選んで撮影できるのは天体写真のいいところです。

代表的なものはこんな感じです。

季節天体名特徴・説明
子持ち銀河(M51)渦巻銀河が小さな伴銀河と相互作用している美しい構造が特徴
干潟星雲(M8)天の川の中に広がる大型の散光星雲。赤く輝き撮影映えする
アンドロメダ銀河(M3)地球に最も近い大型銀河で、肉眼でも確認できる
オリオン大星雲(M42)星が誕生している現場。明るく初心者にも撮りやすい人気の星雲

このようなメジャーなものだけでなく、誰も知らないようなマイナーな天体を探して撮影しているマニアックな人もいます。

ディープスカイ撮影に必要な機材

天体写真は普通の写真とは一線を画すもので、使う機材も非常に特殊です。

最低限必要なものはこんな感じです。

機材解説
天体改造カメラ/冷却CMOS赤外感度や低ノイズ性能が必要
望遠鏡焦点距離400-800mmかそれ以上
赤道儀地球の自転に合わせて星を追尾
オートガイドシステム赤道儀の誤差をリアルタイムで補正する
撮影ソフト/画像処理ソフトASIair, PixInsight など

特に赤道儀の値段が一番高いですね。

絶対必要なものですがかなり高いです。

天体写真を始める人にとっての大きな壁は赤道儀かもしれません。

天体写真の作例

言葉で説明するのは難しいので、実際に私が撮影した天体写真を見てみましょう。

天体写真は最初は難しいですがハマると面白いですよ。

赤道儀とは?星を止めて写すための必須機材

そこで、赤道儀って実際にどのようなものなのでしょうか?

簡単に言うと、赤道儀とは地球の自転に合わせてカメラや望遠鏡を動かせる機械です。

実際に撮影するときは三脚の上に赤道儀を載せ、その上に望遠鏡やカメラを固定します。

地球は1時間に約15度自転しているため、長時間シャッターを開けると星は線のように流れて写ってしまいます。

これでは困りますね。

そこで天体をブレずに撮影できるすぐれものが赤道儀なんです。

赤道儀はこの星の動きを正確に追尾し、星を点のまま写すために欠かせません。

なぜ焦点距離が長くなると追尾が難しくなるのか?

星景写真では赤道儀なしでも撮影できるのに、どうして天体写真では赤道儀が必要なのでしょうか?

その違いは焦点距離にあります。

星景写真で使われる焦点距離は20mm前後ですが、天体写真では400mm以上になります。

焦点距離が長くなる=画角が狭くなる=ごく小さなズレでも大きくブレる、ということです。

望遠レンズを使ったことがある方ならわかるかもしれません。

焦点距離が長くなるほど手ぶれがひどくなり、手ぶれ補正か三脚がないとまともに撮影できないですよね。

なので天体を拡大して撮影する以上は赤道儀が必要になってきます。

ディープスカイ撮影では極めて高精度な追尾が必要になります。

特に銀河撮影では焦点距離が2000mmを超えるのは普通です。

このレベルになると少し望遠鏡が揺れるだけで写真が没になります。

なので赤道儀だけでなく、リアルタイムで星の位置を観測して赤道儀の追尾ズレを補正するオートガイドシステムも必要です。

なかなか奥が深いですね。

どちらから始めるべき?初心者へのアドバイス

このように、星景写真は初心者向きで天体写真は上級者向けです。

なので最初は星景写真から始めるのをおすすめします。

・初期投資が少なくて済む

・三脚+カメラで始められる

・撮影後すぐに楽しめる

・星の動きや空の構造が自然に身につく

また、星景写真でも追尾時間を伸ばしたくなったらポータブル赤道儀を手に入れるのもひとつの選択肢です。

ポータブル赤道儀とは文字通り小さな赤道儀で、天体写真用の赤道儀ほどはゴツくはないけど十分追尾ができるものです。

これで星を追尾して星景写真を撮ってみるのもありですね。

それで天体写真がやりたくなったら少しずつ機材を揃えて始めてみてください。

よくある質問(Q&A)

Q: 星景写真でも赤道儀を使う意味はありますか?

A: あります。

星空部分を追尾して撮影し、地上部分は固定撮影して後で合成することで星も風景もブレていない作品が作れます。

地上と夜空を別々に撮って合成する星景写真は「新星景写真」と呼ばれています。

Q: 星景写真と天体写真、どちらがSNS映えしますか?

A: 星景写真です。構図の自由度が高く、風景との融合がインパクトが大きいです。

一方、ディープスカイはディープな天文層に刺さります。

星景写真と天体写真の違いを比較表で整理

比較項目星景写真天体写真(ディープスカイ撮影)
撮影対象星空と地上風景星雲・銀河など
必要機材一眼カメラ+レンズ+三脚CMOSカメラ+望遠鏡+赤道儀+処理ソフト
撮影時間数秒から30秒ほど数時間以上
難易度初級上級
構図の自由度高い制限される
赤道儀の使用基本不要必須

結論:星空撮影の2つの世界を理解して最初の一歩を踏み出そう!

星空撮影は同じ星を撮っていても、

・芸術的表現を目指す「星景写真」

・科学的表現を追求する「天体写真」

というまったく違う世界が広がっています。

まずは手軽に始められる星景写真からスタートし、興味が深まったら天体写真に移るのが一番挫折しなくておすすめです。

今日から夜空に輝く星々の撮影を始めてみませんか?

では。

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