天体写真、野鳥撮影、花火撮影、雲海撮影、などなど…
そんな写真ファンにとって「最高の一枚」を求めての「遠征撮影」は日常の一部。
その旅先でよく使うのが民宿やホテルのフリーWi-Fiです。
でも、ちょっと待ってください。
そのWi-Fi、本当に安全ですか?
そして、もっと便利に使う方法があるのを知っていますか?
この記事では写真家が遠征時にVPN(仮想プライベートネットワーク)を使うべき理由を実体験と具体例を交えて解説します。
Contents
VPNとは?なぜ遠征撮影に必要なの?

VPNは”Virtual Private Network”の略で、インターネット通信を暗号化して安全にする技術です。
本来は企業や大学などで安全な通信のために使われてきましたが、今では個人でも簡単に使えるツールとして広まっています。
通常の家庭のWi-Fiであれば家族しか使わないので安全ですが、フリーWi-Fiの場合は不特定多数の人が使います。
同じWi-Fiに接続している他の人の画面にアクセスできる技術があり、悪意を持った人がフリーWi-Fiを介して情報を盗み出すことも可能なんですね。
そこで登場するのがVPNです。
VPNは簡単に言えば暗号のトンネルで、VPNのサーバーを経由して情報を暗号化して送信することで第三者が盗み見れないようになります。
実際、VPNを経由した情報の通信を盗み見ることは天才ハッカーでもほぼ不可能です。
なので特に写真家が遠征先でネットを使うなら、VPNは撮影機材と同じくらい重要な装備になり得ます。
撮影データは一度きり。失えば二度と戻らない
長時間露光、複雑なガイド設定、天候のリスクを乗り越えて得られた1枚の天体写真。
もしくは一生に一度しか撮れないような野鳥、雲海、花火の写真。
そのRAWデータや処理済みファイルを宿のWi-Fiからクラウドにアップしたり、SNSに投稿したりしますよね。
ですがその通信が暗号化されていなければ、盗用や削除されるリスクがあるのです。
Wi-Fiは「パスワードがあれば安全」ではありません。
宿泊施設のネットワークは多くの見知らぬ人と共有されていて、パスワードがあっても同じWi-Fiに繋いでいれば情報通信を覗き込むことが可能です。
もちろん悪意のある人はそう多くはないと思いますが、宿のネットワークがサイバー攻撃されて情報が盗まれるリスクもあります。
他人と情報通信を共有するのはかなりのリスクが伴うんですね。
ですがVPNを使えばあなたの通信内容はすべて暗号化され、クラウドに保存した撮影データやSNSのログイン情報を守ることができます。
SNS投稿・クラウド利用・アプリ認証にも関係する
以下のような操作、心当たりありませんか?
・Google DriveやDropboxに撮影データをアップロード
・X(Twitter)やInstagramに星空の写真を投稿
・PixInsightなどのクラウドライセンスを再認証
これらはすべて、ログイン情報や認証トークンをやり取りしている通信です。
情報が盗まれれば勝手にログインされてSNSのアカウントを乗っ取られたり、電話番号や住所といった個人情報が流出する危険性もあります。
フリーWi-Fiを使うならVPNで守っておくのが鉄則ですね。
ちなみに、会社に勤めている人がリモートワークをする際はほぼ確実にVPNを使っています。
気づいていないだけで会社がVPNを用意しているのかもしれません。
企業からしたらサイバー攻撃で情報が漏れたり、アカウントが乗っ取られてめちゃくちゃにされることは避けたいことです。
なので信頼できるVPNが使われています。
おすすめのVPN
そこで、私が使ったことがあるおすすめのVPNを2つ紹介します。
どちらもノーログポリシー(通信履歴を保存せず自動削除)を守っていて信頼できるVPNです。
NordVPN

NordVPNはパナマのもとで運営されているVPNです。
パナマの法律にはデータ保持を義務付けるものがないためデータの即時削除が可能で、完全なプライバシーが守られる設計となっています。
NordVPNは中国やロシアの人権活動家からも信頼されていて、政府に情報が漏れることがないようになっています。
肝心な使い心地ですが、スマホ・タブレット・パソコンの複数端末にアプリが用意されていてスイッチひとつでオンオフが切り替えられるようになっています。
日本にもサーバーがあり、私が使ったときは重たいファイルのダウンロードがかなりの高速で終わりました。
同時に10台まで接続できるそうです。
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これなら普段のカフェでの作業にも使えますね。
ExpressVPN

ExpressVPNは英領ヴァージン諸島にある企業が運営しています。
英領ヴァージン諸島にもデータ保持を義務付ける法律がなく、ノーログポリシーを守ることができるようになっています。
ExpressVPNも使ったことがありますが、VPN接続なしと遜色ないスピードでネットサーフィンできたので快適でした。
ペアレンタルコントロール機能もあるらしく、子どもを持つ大人にとってはプライバシーが保護されるのでありがたいですね。
同時に8台まで接続できるみたいです。
現在(2025年5月)では最大61%の割引をしているみたいなのでよければ見てみてください。↓

Surfshark

Surfsharkはオランダにある企業が運営しています。
オランダもパナマや英領ヴァージン諸島と同じく、ログ保存義務がないのでノーログポリシーが守られています。
Surfsharkの最大のメリットは接続台数が無制限なことで、1つのアカウントでVPNを使い放題です。
ただし、サーバーの負荷を考えると15台くらいまでが限度であるという声もあります。
Surfsharkも使ってみましたが、接続速度も早くマルウェア対策もしてくれるので使い勝手がよかったです。
NordVPNやExpressVPNよりも安い場合が多いのでうれしいですね。
長期契約で1ヶ月300円ほどで使えるそうです。
詳しくは公式サイトを見てみてください↓

VPNがあれば「海外限定コンテンツ」にもアクセス可能
プライバシーはもちろん大事ですが、VPNにはもうひとつ大きなメリットがあります。
それはインターネット上の「地域制限」を通過できることです。
世界中のリソースやコンテンツの中には、「この国からはアクセスできません」と表示されるものもあります。
たとえば:
・NASAやESAの限定ストリーミング映像
・Netflix, Disney+やYouTube上の海外ドキュメンタリー
などがあります。
これらのコンテンツはアメリカやヨーロッパからでなければ見ることができません。
しかし、VPNを使えば接続先のサーバーの国を自分で指定することができます。
接続先をアメリカやヨーロッパに「切り替える」ことができ、まるで現地にいるかのように制限なく利用できます。
まるでVPNは情報の望遠鏡。
世界中の知識と作品に手が届くようになります。
逆に、海外で撮影していてもVPNを使えば「日本のIPアドレス」に切り替えられます。
・日本のクラウドサービスへのログイン
・NHKオンデマンドや日本語版Huluなど、日本限定コンテンツの視聴
・日本語Webサイトの表示や価格確認
国境を越えてもいつものネット環境を保てるのはVPNの大きな強みです。
「VPNって違法じゃないの?」と心配な方へ
VPNというとなんか怪しいイメージがあるかもしれません。
安心してください。VPNの利用は日本でも海外でも違法ではありません。
VPNは企業や大学、政府機関でも使われている正規のセキュリティ技術です。
問題になるのはVPNそのものではなく、それを使って違法行為をした場合です。
たとえばVPNを悪用して海外から違法コンテンツをダウンロードしたり、VPNで身元を隠しながらSNSで誹謗中傷をした場合は違法になります。
そのようなことをしなければVPNを使っても違法ではありません。
・公共Wi-Fiを安全に使う → 合法
・クラウド保存の通信を守る → 合法
・SNS投稿を安全に行う → 合法
・海外の動画を見る → 合法
つまり、写真家が遠征でVPNを使うのはまっとうな自己防衛手段です。
家のドアに鍵をかけておくように、情報通信にも鍵が必要だと思いませんか?
VPNは道具。撮影装備のひとつにすぎない
レンズが光を集めてカメラで光を捉えるのと同じように、VPNはあなたのデータを見えなくして守ってくれます。
しかも今のVPNサービスは、
・アプリを入れて
・ワンタップで接続して
・あとは自動で動く
という、とても簡単でストレスのない使い勝手です。
私も実際にNordVPNとExpressVPNを試しましたが驚くほど簡単でした。
「ボタンひとつでプライバシーが手に入るのか」と感動したのを覚えています。
ぜひ一度使ってみてください。


「VPNはちょっと難しそう…」という人はレンタルSIMやモバイルWi-Fiも
VPNは非常に便利で強力なツールですが、中には「年に数回しか遠征に行かないのにサブスクはもったいない」という方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方には、もうひとつの選択肢としてレンタルSIMやモバイルWi-Fiを使うという方法もあります。
メリットは
・通信が自分専用(公衆Wi-Fiよりはるかに安全)
・撮影遠征時にスマホやパソコンの通信手段として活用できる
・必要なときだけ借りられるので経済的(数日〜1週間など)
などがあります。
たとえば「遠征時だけ使いたい」「自宅のVPNと使い分けたい」といったニーズにぴったりです。
最近は山間部などでも電波が入るエリアに対応したプランも増えており、田舎でも使いやすいサービスもあります。
「VPNアプリの導入に抵抗がある」
「その都度1回の遠征だけ利用したい」
→ そんな場合は、レンタルSIMやモバイルWi-Fiで物理的に安心な通信環境を持ち歩くのが賢い選択肢です。
まとめ:VPNがあると安心して撮影に集中できる
遠征で撮った作品を安心して保存・公開できる。
海外のリソースを自由に活用できる。
自分の情報を自分で守れる。
それがVPNを導入することの最大のメリットです。
撮影の努力をネットのリスクで台無しにしないために、VPNは現代の写真家にとって欠かせない装備だと思います。
確かに、プライバシーが守られたからといって何かが得するわけではないかもしれません。
ですが最近はサイバー犯罪や詐欺、クレジットカードの不正利用やSNSアカウントの乗っ取り、個人情報の流出が頻繁に起きています。
その安心を数千円で買えるなら安いでしょう。
写真家にとって撮影データは一生の財産です。
盗まれたり削除されたりすることのないよう、VPNの利用を考えてみてください。


では。