天体写真を撮影して自分の作品を仕上げると、あるとき「この写真を部屋に飾ってみたいな」とか「フォトコンテストに応募してみようかな」と思うことはありませんか?
実際、私自身も星雲や銀河を長時間露光で撮影して仕上げたとき、「この1枚を形として残したい」と感じたことがありました。
デジタル化が進んでいるとはいえ、特にフォトコンはまだまだ写真の郵送での応募が主流ですよね。
そのとき、最初にぶつかる壁が「どこで印刷すればいいの?」「プリントの仕上がりってそんなに違うの?」という疑問です。
天体写真はただ綺麗にプリントできればいいわけではありません。
淡い星雲のグラデーションや黒い宇宙の中の星の輝きなど、極めて繊細な情報が詰まっているのでプリントの品質がそのまま作品の印象を左右します。
実際、フォトコン入賞においては印刷のクオリティも非常に大切だと言われるほどです。
そこでこの記事では、天体写真を高品質に印刷できる写真プリントサービスを厳選して3社ご紹介します。
いずれも大判サイズ・銀塩プリント対応で、フォトコンテスト応募にも対応可能です。
実際に調べたり使ったりした感想も交えながら、特徴を分かりやすく比較していきます。
Contents
天体写真を印刷する際のポイント
普通の風景写真やポートレートとは違い、天体写真は特殊な写真です。
どういう点で特殊かというと、「色の再現度が正確に求められる」という点です。
プリントサービスによっては写真が青みがかったりオレンジ色っぽくなってしまう場合もありますが、それでは頑張って画像処理をして色合わせしたのも台無しになってしまいます。
なので安いだけではなく、品質の高い印刷ができるサービスを選びましょう。
ここでいくつかポイントを紹介します。
銀塩プリント対応であること
銀塩プリントは感光紙にレーザーで露光し、化学処理によって色を出す方式です。
薬品を使って紙に色をもたせます。
一方、インクジェットは家庭用プリンターなどで主流の紙にインクを吹き付ける印刷方法です。
耐久性やグラデーションの滑らかさは銀塩写真が上だと言われることが多いですね。
比較表を書いてみました。
項目 | 銀塩プリント | インクジェットプリント |
---|---|---|
印刷方式 | 感光紙にレーザーで露光し、薬品で現像する(化学反応による発色) | 紙にインクを微細に吹き付けて発色させる(物理的なインク定着) |
階調表現 | 滑らかで自然、微妙なグラデーションが得意 | シャープでコントラストが高め、濃淡の切り替えが明確 |
黒の締まり | 深く沈むような黒を表現しやすい | 濃い黒はやや浅めに見えることがある(特に光沢紙以外) |
発色の傾向 | 自然で落ち着いた発色、特に赤系の階調が得意 | 鮮やかで彩度が高い。インクによっては派手すぎる場合もある |
耐久性 | 高い(変色・退色しにくい)、保存性に優れる | 使用するインクや用紙によるが、一般的に銀塩よりやや劣る |
表面の質感 | なめらかで粒状感が少ない。半光沢や絹目など種類あり | 用紙によってマット・光沢・ファインアート調など多様に選べる |
印刷可能サイズ | サービスによりL判〜A3ノビ、業務用でさらに大きく対応可 | 家庭用〜業務用プリンタで自由に設定可能(A0以上も可) |
天体写真との相性 | 星雲の淡い色や暗黒帯の階調がきれいに出る | 鮮やかに見えるが、微細な階調や黒の表現はやや劣ることがある |
コスト | L判〜A3:安価〜中程度(注文印刷の場合) | 家庭印刷はコストがかかることも(高級用紙・インク消耗) |
フォトコン応募適性 | 多くのフォトコンテストで推奨・指定される | 指定外の場合はNG。商業プリントよりは家庭用向き |
なので銀塩写真は滑らかなグラデーション、インクジェットはコントラストが強い傾向があるということです。
実際私も最初はセブンイレブンのプリンターで写真を印刷しましたが、赤い星雲の色が少し派手すぎになってしまいました。
天体写真のように、滑らかな階調が重視される世界では銀塩写真のほうが優れているでしょう。
ただ、銀塩写真は紙が厚いとか指紋がつきやすいというデメリットもあるみたいです。
ですが紙の材質やサービスによっても違うので、一回テストプリントしてみることを強くおすすめします。
補正の有無を選べること
プリント店の自動補正は便利な面もありますが、天体写真では邪魔になる場合も多いです。
特に色彩補正を間違ってかけると写真が青みがかったり、逆にオレンジ色になったりと嫌な現象が起きてしまいます。
必ず補正のON/OFFを選べるお店にしましょう。
大判サイズに対応していること
フォトコンではA4や四切、ワイド四切、A3ノビなどのサイズで応募が求められることが多いです。
L判だけでは用途が限られるため、A4以上のサイズに対応しているかどうかをチェックしましょう。
家で飾る用にも大きいサイズのほうが格好いいですよね。
その分値段は高くなりますが、金額に見合った価値はあると思います。
というわけで、ここからおすすめの写真プリントサービス3つを紹介していきます!
フジプリ(フジカラーデジカメプリント)
フジプリは静岡県の富士市に工場を置く、50年以上の歴史のある銀塩プリントサービスです。
公式サイト↓

世界最高水準と言われているフジフイルム社製高品質写真現像機の「フロンティア」を使っていて、印画紙も高級感があり丈夫です。
私がアンドロメダ銀河の写真を印刷したとき、銀河のグラデーションと星々のきらめきが美しく表現されていてびっくりしました。
特に背景の黒が潰れず、宇宙空間の背景の深みを感じさせる描写が優れていると感じました。
実際に印刷された紙の写真を撮ったんですが、写真に写る紙と肉眼で見た質感が違ったので載せられません。
価格帯やオプションなど、詳しくは公式サイトを見てみてください。↓

アオヤギ写真工芸社
次に紹介するのがアオヤギ写真工芸社です。

アオヤギ写真工芸社は、東京にある60年以上の歴史を持つ老舗の写真店が運営するネットプリントサービスです。
特徴はオプションが豊富なことで、印画紙はフジカラー純正とオリジナルが選べます。
また、機械焼きだけでなくオペレーターによる補正がついた手焼きにも対応しています。
ただ、天体写真は画像処理をしている写真が前提なので機械焼きがいいと思います。
プリント面も光沢/半光沢(ラスター)/半光沢(シルク)/超光沢の4つから選ぶことができます。
アオヤギ写真工芸社はオプションがかなり多いので、じっくり選んでこだわった一枚に仕上げたい人にはぴったりです。
色調補正もON/OFFが選べるので安心ですね。
よければ公式サイトを見てみてください。

しまうまプリント
最後に紹介するのがしまうまプリントです。

しまうまプリントは写真プリント業界で有名で、名前を知っているという人も多いかもしれません。
人物写真だけでなく、FUJICOLOR高級プリントやプロ仕上げ高級プリントにも対応しています。
A4とA3サイズには対応していない代わりにW6とW4に対応しています。
フジプリとアオヤギ写真工芸社はA4とA3サイズです。
W6やW4サイズが欲しい人は迷わずしまうまプリントをおすすめします。
会員登録すれば次回の利用で便利だったり、別のサービス(フォトブック作成など)も受けられたりとありがたいですね。
色調補正のON/OFFも選べます。
よければ公式サイトを見てみてください。↓

テストプリントをして最高の一枚を仕上げよう!
ここまでで3つの写真プリントサービスを紹介してきましたが、それぞれの強みや弱みがあります。
「とりあえず質の高い印刷をしたい」という人にはフジプリ、「オプションをこだわって微調整したい」という人にはアオヤギ写真工芸社、「W6やW4サイズがほしい」という人にはしまうまプリントをおすすめします。
一回の印刷でうまく再現できない場合もあるので、まずは一枚だけ印刷してどんな感じなのか確かめてみてから本番用の印刷を頼んでみてください。
では。


