カメラ界隈でひそかに話題なマイクロフォーサーズ(MFT)というカメラの規格があります。
センサーサイズがフルサイズやAPS-Cよりもさらに小さく、安さや軽さを売りにしている機種です。
「MFTって正直どうなの?後悔する?」
そんな疑問を持ってこの記事にたどり着いた方も多いかもしれません。
私は普段、Nikon Z6II (フルサイズ) を使って星景写真や風景写真を撮影しています。
また、冷却CMOSカメラのASI294MC Pro(マイクロフォーサーズセンサー)を使って天体写真を撮影してきました。
そこで今回、MFTの強みと弱みを独自の視点であぶり出していこうと思います。
ぜひ最後まで読んでみてください。
Contents
マイクロフォーサーズとは?
マイクロフォーサーズ(MFT)はセンサーサイズが17.3mm × 13.0mmのミラーレスカメラ規格で、フルサイズ(36×24mm)の約1/4の面積です。
主な特徴は
- フォーサーズ換算で焦点距離が2倍(300mm → 600mm相当)
- コンパクトで軽量
- 性能の割に安い
- 主にOM SYSTEM(旧Olympus)とPanasonicが展開
- SIGMA, Voigtländer(フォクトレンダー)などサードパーティ製レンズも豊富
といったものがあります。
ただ、センサーサイズが小さい分フルサイズやAPS-Cとは違った特徴があります。
ピクセルサイズを見よう
カメラのセンサーには正方形のピクセル(画素)が敷き詰められていて、それぞれが光をキャッチすることで写真を撮ることができます。
「高画素=神」という神話があるかもしれませんが、画素数が多すぎると1画素あたりの光量が少なくなり、ノイズが発生したり階調が失われます。
なのでピクセルサイズが大きいほどノイズ耐性が強いという傾向があります。
もちろんカメラの仕組みなどで影響を受けますが、特に暗い星空の光と向き合う星景写真ではピクセルサイズが大きいほど有利です。
ここでフルサイズカメラとマイクロフォーサーズカメラの比較表を作ってみました。
フラッグシップモデルで比較しています。
*表はスクロールできます
| 機種名 | センサーサイズ | 有効画素数 | ピクセルピッチ | センサータイプ | 新品価格(円) |
|---|---|---|---|---|---|
| Canon EOS R5 Mark II | フルサイズ(36.0×24.0 mm) | 約45.0MP | 4.39 µm | 裏面照射CMOS | 約650,000円 |
| Nikon Z9 | フルサイズ(35.9×23.9 mm) | 約45.4MP | 4.35 µm | 裏面照射積層CMOS | 約770,000円 |
| Sony α1 II | フルサイズ(35.9×24.0 mm) | 約50.1MP | 4.14 µm | 裏面照射積層CMOS | 約990,000円 |
| ZWO ASI6200MC Pro | フルサイズ(36×24 mm) | 約61.2MP | 3.76 µm | 冷却BSI CMOS(IMX455) | 約650,000円 |
| OM SYSTEM OM-1 Mark II | MFT(17.3×13.0 mm) | 約20.4MP | 3.32 µm | 裏面照射積層Live MOS | 約280,000円 |
| LUMIX GH7 | MFT(17.3×13.0 mm) | 約25.2MP | 2.99 µm | 裏面照射BSI CMOS | 約250,000円 |
このように、フルサイズのほうがピクセルサイズが大きい傾向があります。
MFTだとセンサーサイズが小さい分、画素数を多くするとピクセルサイズが小さくなりがちです。
ピクセルサイズが小さいと写真の細かい部分まではっきり解像できます(野鳥の羽毛、人の肌の質感など)が、ノイズが増えるという欠点があります。
なのでMFTはマクロ撮影や野鳥で解像度を最優先させたい場合にはうってつけです。
逆に、星景写真など暗い場所でノイズを増やしたくない人にとってはピクセルサイズの大きいカメラを選んだほうがいいです。
私が使っている Nikon Z6II はピクセルサイズが5.93µmと異常に大きいのでノイズが極めて少なく、星景写真で大活躍してくれています。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
ただ、Z6IIで野鳥を撮ると明らかに画素数が少なく羽毛が潰れるという現象が発生します。
なので一長一短ですね。
MFTが向いている人・向いていない人をまとめてみました。
MFTが向いている人:野鳥やマクロ撮影に最適!
一番MFTが向いている人は野鳥写真家だと思います。
野鳥は非常に遠くにいる割に小さく、フルサイズでは600mmのレンズを使うこともザラです。
ただ、600mmのレンズは非常に高価で重いので多くの人が「野鳥始めたいけど無理」となってしまっています。
そこでマイクロフォーサーズカメラの出番です!
MFTはフルサイズに比べて画角が2倍狭いので、マイクロフォーサーズカメラに300mmのレンズをつけるとフルサイズの600mmと同じ画角になります。
たとえば OM-1 Mark II に M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO をつけると、フルサイズ機に 600mm f4 のレンズをつけているのと同等になります。
しかも価格はカメラボディ・レンズ合わせて100万円以上安く済みます。
すごすぎますね。
調べてて私も欲しくなってきました笑
フルサイズで撮っても、小鳥だとクロップ(中心だけ切り取る)前提です。
なんだかもったいないですね。
野鳥撮影を始めたい方にはMFTはおすすめです。
マクロ撮影でも優秀で、M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro を OM-1 Mark II につけると120mm換算です。
最短撮影距離が0.19mなのでとことん寄れますね。
また、Lumixのカメラは動画撮影にとことんこだわっている感じです。
動画クリエイターの人にとっては頼れる相棒になるかもしれません。
私は野鳥もマクロも好きなのでいずれ買っているかもしれません笑
MFTが向いていない人:星景写真にはフルサイズを
一方、マイクロフォーサーズカメラも万能ではありません。
特に星景写真の場合、できるだけ広い視野を撮りたいですよね。
ですが、マイクロフォーサーズカメラに20mmのレンズをつけるとフルサイズで40mm換算になってしまいます。
フルサイズ換算で20mmの画角を実現したい場合、10mmのレンズが必要になります。
M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO も選択肢に入りますが、そうなると魚眼になってしまいます。
MFTの画角の狭さが星景写真ではネックになってしまうんですよね。
それに、ピクセルサイズも小さいので Nikon Z6II のようなダイナミックレンジは出ません。
星景写真に打ち込みたいならフルサイズをおすすめします。
Nikon Z であれば、 NIKKOR Z 20mm f/1.8 S というレンズが開放から極めてシャープなのでおすすめです。
結論:MFTはオワコンじゃない
ここまで色々書いてきましたが、私はマイクロフォーサーズカメラが好きです。
天体写真では遠方の銀河を取る際、フルサイズ換算で5000mmの焦点距離が必要という化け物みたいな場面に出くわすことがあります。
そんな望遠鏡は売ってません。
そこで、ASI294MC Pro のようなマイクロフォーサーズカメラと焦点距離2500mmの望遠鏡を使えば同じ画角を実現できます。
MFTの真価は望遠でこそ発揮されます。
「広角から標準の画角が好き。85mmまでのレンズしか使わないよ」という人はフルサイズがおすすめです。
ただ、Voigtländer(フォクトレンダー)というブランドはMFTでf0.95の化け物レンズをたくさん作っています。
f0.95を体感したい人にもマイクロフォーサーズカメラはいいかもしれません。
反対に、「400mmや600mmで野鳥を撮りたい。でも機材が高すぎて買えない」「マクロ撮影がしたい。解像度が最優先」という人にはマイクロフォーサーズカメラを心からおすすめします。
特に、連写性能が最大120コマ/秒と化け物クラスの OM-1 Mark II をおすすめします。
私も数年後には買ってるかもしれないですね笑
一度OM SYSTEMの公式サイトを見てみてください。
もしくはECサイトで↓
きっとあなたもマイクロフォーサーズの虜になるでしょう。
では。





















