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超望遠レンズ Sigma 400mm F5.6 mirror 実写レビュー

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オールドレンズ沼にハマりました。

Nikon Z マウントの純正レンズは高いのでオールドレンズに走っています。

特に望遠レンズともなると平気で30万円を超えてくるのでつらいです。

ですがオールドレンズを使えば価格の問題をクリアできます。

今日は Sigma 400mm F5.6 mirror をレビューしていきます。

スペックと外観

スペックはこのサイトに載っています。

焦点距離は400mmで固定、f値もf5.6で固定です。

絞り機構はついていません。

外観はこんな感じです。

400mmの望遠レンズにしてはコンパクトですね。

重量も625gなのですごく軽いです。

普通の望遠レンズでは1kg超えが当たり前な中、625gを実現しているのはすごいです。

軽いので手持ちでも余裕です。

上から覗くとこんな感じになります。

このレンズは反射式(望遠鏡で言うところのシュミットカセグレン式)で、下に見えている鏡と中心の鏡が向かい合って光を反射する仕組みになっています。

表面は補正板で蓋がされていて、レンズ内部にゴミが溜まる心配はありません。

AFはなく、マニュアルフォーカス専用でピントリングを回す方式になっています。

最短撮影距離は2mですが、他の望遠レンズと比較しても長すぎるということはなさそうです。

このモデルはニコンFマウントでした。

他にもいくつかバリエーションがあるみたいです。

見ての通り電子接点はありません。

完全にMF専用と思ったほうがいいでしょう。

後ろから覗くとこんなふうな見た目をしています。

中心の鏡(副鏡)が遮っているのでリングボケが現れます。

側面にフィルターを格納できる引き出しがついています。

対応サイズは30.5mmなのであまり使い道はないかもしれません。

フィルターを付けるなら前面に86mmのフィルターをつけるのがいいでしょう。

それではお待ちかねの実写レビューをしていきます。

実写レビュー

今から紹介する画像はレタッチなしの撮って出しです。

Nikon Z6 II に焦点工房のFTZのマウントアダプターをかませて撮影しました。

Nikon Z6 II, f5.6, SS 1/2000 s, ISO 400

正直言うと解像感はあまりないです。

そもそもAFがないのでピント合わせを手動に頼らざるを得ません。

そして何より使っていて感じるのは被写界深度の浅さです。

この写真でも中心の葉っぱの右端はピントが合っていません。

f5.6とは思えないほどピントの合う範囲が狭く、少しでもピントがずれるとボケてしまいます。

そして絞り機構がないのでf値をコントロールできません。

ですがお金がない私が初めて出会った超望遠レンズがこのレンズで、超望遠の楽しさを教えてくれました。

遠くのものに手が届くような感覚はとても新鮮でした。

Nikon Z6 II, f5.6, SS 1/1250 s, ISO 800

このレンズの最大の特徴はリングボケでしょう。

反射レンズは中心を副鏡が遮っているゆえにボケがリング状になります。

こういうボケ方が嫌いな人もいれば、レンズの味として使う人もいるでしょう。

個人的にはあんまり好きではありません笑

Nikon Z6 II, f5.6, SS 1/800 s, ISO 400

このレンズは動体(野鳥、鉄道、飛行機など)には向かないと思います。

可能な限り正確にピントを合わせ、狙った一枚を切り取るのがいい使い方なのかもしれません。

ですが驚かされるのが色収差が全くない点です。

屈折式の望遠レンズはボケ方が綺麗ですが、重いのと色収差が出るのがデメリットになります。

もちろん、高性能なレンズであれば色収差はほとんど抑制されているのでしょう。

ですがその分価格は跳ね上がりますし、レンズを多数入れないといけなくなるので重量も重くなります。

0色収差を実現しているのはこのレンズの大きなアドバンテージでしょう。

Nikon Z6 II, f5.6, SS 1/800 s, ISO 400

今度は鉄道写真です。

運良くLEDの方向幕を写真に収めることができました。

ホームの陰影の空気感が好きな一枚です。

ですがこの写真も完璧ではありません。

電車のライトを見てみましょう。

変なリングが2方向に広がっています。

このレンズの最大の弱点は「明るい点光源に向けると変なリングが2つできてしまう」ことです。

それさえなければすごくいいレンズだと思うのでもったいないです。

最後は天体写真を見てみましょう。

このブログは天体写真メインなので、天体写真で使い物にならなかったら困ります。

Nikon Z6 II, f5.6, SS 30s x59, ISO 25600

この写真はレタッチ(画像処理)後です。

これには驚きました。

確かに明るい星の周りに変なリングが発生してしまっていますが、邪魔になるレベルではなくいい感じです。

もちろん全くないのが理想ではありますが。

こうして見ると抜群の解像度ですね。

何より色収差が全くありません。

安物オールドレンズだとどうしても色収差は避けられないのですが、このレンズだとそのようなことは一切ありません。

天体写真だと画像処理が前提なので、星の周りに変な青ハロとかがあると処理をすればするほど浮き上がってきて使い物にならなくなります。

ですがこのレンズのように色収差がない場合、コントラストや彩度を好きなように上げられるのでとても楽です。

また、心配していたコマ収差も一切ないですね。

コマ収差とは四隅の星が矢印のような形になって流れてしまう現象です。

フルサイズでこれだけ高いレベルならAPS-C機でも安心して使えそうです。

試しに左上隅だけを拡大してみました。

星が流れるどころか、ひとつひとつが完璧な点として写っています。

これなら天体写真用としても安心して使えそうです。

ただ、7等星までは変なリングが出てしまうので明るい星団には不向きです。

特にオリオン大星雲やすばるは撮影できないと思ったほうがいいでしょう。

そのような苦労をしたくない方はお金をかけて専用の天体望遠鏡を買うことをおすすめします。

良いところと悪いところ

このレンズの良いところと悪いところをまとめます。

良いところ

(1) 安い

このレンズの最大のアドバンテージはその安さです。

私の場合はヤフオクで1万円くらいで買いました。

Nikon純正のZマウントの超望遠レンズ、NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S は新品で50万円ほどです。

もはやカメラが2台買えてしまうくらいの値段です。

超望遠レンズを持っている人が少ないのは価格の影響が大きいでしょう。

もちろん広角や標準レンズでも高いものはたくさんありますが、超望遠レンズほど高くはないです。

また、超望遠レンズは使い道がほとんどなさそうといったマイナスイメージもあると思います。

50mmの標準レンズを普段使っている人からしたら、400mmという焦点距離は化け物級です。

ですが一度手に取ってみたら世界観が変わるでしょう。

遠くのものが引き寄せられる感覚は超望遠でしか味わえません。

(2) 軽くてコンパクト

私は他の屈折式の超望遠レンズを使ったことがないのでわかりませんが、625gはかなり軽いと思います。

正直言って私はこのレンズでも手持ちで腕がプルプルしてしまうので、1kg超えの超望遠レンズを三脚なしで振り回して野鳥を撮る、なんてことはできないですね。

Z8に3kgくらいの超望遠レンズをつけて、手持ちでブンブン野鳥を撮っている人がいるらしいのですがその人の筋肉はどうなっているのでしょうか。

それに、レンズがかさばると外に持っていく気が失せます。

野鳥や鉄道、飛行機といった目的が決まっているならいいかもしれませんが、普段のお出かけにどでかい超望遠レンズを持っていくきにはなれません。

それに、旅行で荷物を極力減らしたいときもあるでしょう。

そういった場合はこのレンズを持っていくか、高倍率ズームレンズを使うのがいいと思います。

ですが高倍率ズームレンズも高いので私には手が届きません笑

(3) 収差がほぼない

このレンズで撮った星の写真を見ていただいたように、収差がほとんどありません。

天体写真で必要とされる基準をクリアしています。

唯一の欠点は変なリングですね。

それさえなければ天体写真で本格的に使えるので少しもったいないです。

もちろん、普段の写真でも色収差やコマ収差が発生することはないので安心して使えます。

悪いところ

(1) AFと手ぶれ補正がない

超望遠レンズには必須とされるAFと手ぶれ補正が一切ついていません。

特にAFがないのは痛すぎます。

野鳥撮影にはまず使えないと思ったほうがいいでしょう。

風景や天体写真といった、ファインダーを見ながらピントを微調整できる環境であれば活躍すると思います。

それ以外には向かないです。

またカメラとの電子接点さえなく、レンズ情報も記録されません。

後からレンズ情報を見返したいときに不便ですね。

(2) ボケ方が独特

リングボケを良しとするかダメとするかは人それぞれでしょうが、背景がごちゃごちゃしているとボケ方が汚くなりがちです。

このレンズはボケには弱いと思ったほうがいいかもしれません。

もちろん、個性を理解して使いこなせば輝く場面もあります。

ですがこの領域になってくると完全に遊びなので、とにかくいい写真を撮りたい方は高性能の屈折式レンズを買うことをおすすめします。

(3) 点光源の周りに変な2つのリングができる

このレンズの一番の欠点は変なリングです。

夜景やイルミネーションといった場面では点光源の周りに大量のリングが発生し、変な写真になってしまいます。

また、夜の撮影では基本的に三脚が必要です。

f値がそこまで明るくない上に手ぶれ補正もないので、夜の撮影でブレずに撮ることはほぼ無理です。

三脚なしで夜の撮影をしたいという方には全くおすすめできません。

総評

ここまで色々書いてきましたが、個人的にはいいレンズだと思います。

この前購入したケンコーの800mmレンズは正直外れでしたが、このレンズは癖が強いなりにもちゃんと天体写真が撮れます。

普段使っている天体望遠鏡のサブ機として活躍してます。

使い所がかなりはっきりしているレンズなので、用途に合わなければ買うのはやめたほうがいいでしょう。

しかし、超望遠レンズをまだ一本も持っていない人なら試してみる価値はあると思います。

きっと世界観が変わるはずです。

絶対に太陽にレンズを向けない

最後にひとつだけ注意です。

望遠レンズを初めて使う人のやりがちなこととして、太陽を構図の中に入れた写真を撮ろうとする人がいます。

確かに、広角レンズであれば逆光をうまく使い印象的な写真を撮ることができます。

ですが望遠レンズで太陽を写すのは非常に危険です。

なぜかというと、望遠レンズは口径が大きく集光力が凄まじいからです。

このレンズの場合は肉眼の100倍ほどの集光力があります。

肉眼で太陽を見ることでさえ目を痛める危険があるのに、このようなレンズを太陽に向けたら大変なことになってしまいます。

カメラやレンズの故障の原因になるのはもちろん、ファインダーを覗くことで失明する可能性があります。

望遠レンズを使う際は必ず太陽に注意してください。

それさえ守れば楽しいレンズです。

興味が湧いた人はぜひ中古市場で買ってみてください。

では。

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