天体写真を趣味として続けていると、さまざまな壁にぶつかります。
その中でも多くの人が直面するのが「光害」の問題です。
私の撮影地(横浜市内)も例外ではなく、自宅のベランダから見る夜空には1等星しかありません。
夜空は常に都会の明かりに照らされて黄色く霞んでいて、普通に撮影したら色被りまみれになってしまいます。
そんなときに役立つのが「光害カットフィルター」ですが、これがめっちゃ高いんです。
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日本で買うと高すぎる問題
光害カットフィルターはナトリウム灯や水銀灯などの特定の波長をカットし、星雲などの天体の波長だけを通すという便利アイテムです。
しかし国内で購入しようとするとひとつ3万円程度で、少し手の出しづらいアイテムです。
特に複数の鏡筒で撮影を行うようになると、フィルター代だけで数万円単位の出費になってしまいます。
「もう少し安く手に入らないものか…」
そんな思いでいろいろと調べていたところ、偶然たどり着いたのが中国の大手通販サイトタオバオ(淘宝)でした。
タオバオで見つけたOptolong L-Quad Enhance

タオバオには思った以上に多くの天文用品が販売されており、有名なZWO製品やSky-Watcher製品、フィルター各種もラインナップされています。
今回私が目をつけたのは、Optolong社のL-Quad Enhanceフィルターでした。
これは H-alpha, OIII, SII といった星雲の主要な輝線を効率よく通しつつ、人工光の波長を大きくカットしてくれるフィルターで、海外で話題になっていました。
私もレビューを書いています。
日本では新品でおおよそ25000円前後で販売されていますが、タオバオではなんと約15000円という価格で出品されていました。

710.4人民元なのでおよそ15593円です。
人民元(¥)も日本円(¥)も記号が同じなので紛らわしいですね。
1万円安い――。
これは大きな差です。
「本当に大丈夫なのか…?」と迷う日々
もちろん、安いからといって即決できるほど甘くはありません。
タオバオは中国語オンリーの通販サイトで、日本語や英語は基本的に通じません。
AliExpressが日本語や英語対応なのに対し、タオバオは中国語だけです。
偽物のリスクもあるという噂を聞いていました。
写真はそれっぽいけれど、果たしてこれは本当にOptolong純正なのか、模造品ではないのか…。
しばらく悩みました。
ですが、最終的には「ギャンブルだけどブログのネタになるかも」という理由で購入しました。
代行業者を使わず直接日本に発送してみた
これまでタオバオでの買い物といえば、代行業者を使って購入・転送してもらうのが一般的でした。
ですが日本に直接住所指定ができたので、今回は代行業者を使わずにタオバオから日本の住所を直接指定して発送してもらうという方法を試してみました。
決済は普通にクレジットカードでいけました。
やや心理的ハードルが高いものの、海外通販のスキルがある程度ある人なら十分にできると思います。
約2週間後、ついに到着
注文から約2週間。通関や国内配送も含めて、無事に商品が届きました。
梱包は丁寧で、緩衝材に包まれた状態でしっかりと保護されていました。
中国語のラベルが貼ってありましたが笑
開封してみると製品の外箱は日本で販売されているものとまったく同じで、OptolongのロゴやQRコード、フィルター枠の刻印なども正規品と一致していました。
「これは…本物だ!」
というわけで、さっそく望遠鏡に装着して撮影してみました。
撮影してみた感想:しっかり効果あり
実際にL-Quad Enhanceを使って撮影してみたところ、光害が大幅に抑えられて星雲のH-alpha成分がくっきりと浮かび上がりました。
また、赤い星雲だけでなく青い反射星雲や銀河にも効果がありました。
詳細なレビューはこの記事で書いています。
撮影結果から判断する限り、やはりこれは正規品と見て間違いなさそうです。
今まで使ったフィルターの中で一番の実力だと思います。
リスクはあるが、成功すれば大きな節約に
タオバオでの買い物には一定のリスクがあることは間違いありません。
言語の壁、配送トラブル、偽物の可能性…。
ですが、今回のように信頼できる出品者から慎重に選んで購入すれば、国内価格より1万円以上安く手に入れられるというのは非常に大きな魅力です。
特に今後も複数の鏡筒やカメラを導入していく予定のある方にとって、こうしたコストカットの手段を知っておくのは大きなアドバンテージになると思います。
ただ、そうはいってもギャンブルなので万人におすすめできる方法ではありません。
不安な人は国内正規代理店やAmazon, 楽天から買うのがいいでしょう。
タオバオ購入時の注意点まとめ
- 日本語・英語非対応のため翻訳ツールや中国語に多少の慣れが必要
- 支払いにはAlipayや WeChat Pay が必要になるケースも
- 日本直送に対応していないショップもあるため事前確認は必須
- 偽物や破損のリスクがあるため信頼できるショップの評価をよく見ること
- 保証や返品対応は期待できないのであくまで自己責任
同じ中国通販であれば、AliExpress(アリエク)のほうが日本語対応で返品保証もあり安心です。
ただ、アリエクはたまに安いですが普段はあんまり安くないのでタオバオのほうが好きです。笑
最後に
天体写真はとにかくお金がかかります。
カメラ、望遠鏡、赤道儀、アクセサリ、そしてフィルター類……。
節約できるところをうまく節約して、その分を撮影時間や遠征費用に回せるとしたら十分価値があると思います。
今回の買い物は少し勇気のいるチャレンジではありましたが、結果的には非常に満足のいくものでした。
もしあなたが中国製品(ZWO, Sky-Watcher, iOptron, Optolong など)の購入を検討しているのであれば、タオバオという選択肢も十分にアリかもしれません。
ただし、繰り返しになりますがリスクを理解した上で無理のない範囲でお試しください。
Optolong L-Quad Enhance のレビューはこちら↓
*この記事は商品の内容や真贋、配送の安全性や税関通過などを保証するものではありません。くれぐれも自己責任でお願いします*