最近はレモン彗星(C/2025 A6)が話題になっていますね。

私も「大阪でもレモン彗星を見たい!」という人からの問い合わせを多く受けています。

そこで今回は「大阪近郊でレモン彗星を見るには?」というテーマで記事を書くことにしました。

結論を言えば、本気でレモン彗星を見に行くなら暗い場所まで遠出しないといけません。

その理由や観察スポットなどを詳しく紹介していきます。

ぜひ読んでみてください。

この記事を参考にして記事を書かれる場合はぜひリンクを貼っていただけると助かります。よろしくお願いしますm(*_ _)m

レモン彗星とは?

レモン彗星(C/2025 A6)は2025年1月にアメリカのアリゾナ州のレモン山観測所で発見された彗星です。

この観測所は地球接近小惑星や新天体を次々と発見することで世界的に知られていて、これまでにも「レモン彗星」と名のつく彗星をいくつも発見してきました。

今回の C/2025 A6 はその中でも特に明るくなる可能性を秘めた「注目のレモン彗星」です。

このレモン彗星は発見当初は非常に暗く、天文学者たちによって赤外線望遠鏡でその存在が確認されました。

しかしその軌道を解析した結果、太陽にかなり近づく軌道を通過することが判明しました。

太陽熱による活動が活発化することで2025年秋に肉眼でも見える可能性があると予測されています。

太陽に近づくと氷が昇華してガスや塵を放出し、長く美しい尾を伸ばすのが彗星の特徴です。

この現象がどの程度活発になるかによって、私たちが目にする明るさも大きく変わります。

最新の予測では4等級まで明るくなるだろうと言われていて、これは空が暗い場所であれば肉眼でも見えるレベルの明るさです。

都会では見えない可能性もあるので注意しましょう。

レモン彗星の軌道は、太陽の近くを一度だけかすめるように通過して遠く宇宙の彼方へと飛んでいく「放物線軌道」に近いものです。

そのため、次にレモン彗星が地球から見られるのは数千年後、あるいは二度と戻らないかもしれません。

そう考えると、2025年秋の出現は非常に貴重な機会ですね。

レモン彗星は太陽に最接近する際に尾を長く伸ばすことが期待されていて、撮影にも大きなチャンスが訪れます。

特に秋の夜空は透明度が高く、関西・紀伊半島のように海と山が近い地域では地平線近くまで澄んだ空が広がります。

もし晴天に恵まれれば海に沈むレモン彗星の幻想的な光景を撮影できるでしょう。

まとめると、レモン彗星とはただの「新しい彗星」ではなく、2025年の天文イベントの主役になりうる存在なのです。

季節は秋。

空気が澄んで夜が長くなっていく時期に、太陽系の果てからやってきた氷と塵の旅人が私たちの頭上に姿を見せます。

ぜひ肉眼でその姿を見てみたいですね。

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見える時期と方角

レモン彗星(C/2025 A6)は2025年10月から11月にかけて日本で観測の好機を迎えます。

ただし、いつ・どの方角に見えるのかによって観察条件が大きく変わるため、時期ごとの特徴を押さえておくことが大切です。

まず、10月前半は夜明け前の未明に北東の空に姿を現します。

こんな感じです↓

日の出前の2〜3時間ほどが観測のチャンスで、明け方の澄んだ空気の中、地平線付近から昇ってくる彗星を探すことになります。

この時期は夜明け直前まで粘れば高度が少しずつ上がるため、双眼鏡を使えば発見できる可能性があります。

特に空の透明度が高い秋晴れの日や、空気が乾燥している日には観測の条件が良くなるでしょう。

また、10月前半は月が明るいですが明け方には西の方にいるのでほとんど影響がありません。

レモン彗星狙いなら10月前半は月の影響はそこまで気にしなくていいでしょう。

一方で、10月後半以降は観測の状況が大きく変わります。

今度は未明ではなく、日没後の西の空にレモン彗星が姿を現すようになります。

こんな感じです↓

ただ、日によっては北西寄りに現れたり南西寄りに現れることもあるので注意しましょう。

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日没後だと夜ふかししなくていいので多くの人にとって観測しやすい条件ですね。

仕事帰りや学校帰りでも空を見上げれば発見できるチャンスがあります。

夕暮れの残照が落ち着き、空が暗くなり始める18時台から20時台が狙い目の時間帯となります。

しかも10月21日が新月であるため、その前後の数日間は月明かりの影響がなく最も条件の良い観測タイミングになります。

この時期には彗星が最も明るいと予測されていて、肉眼で確認できる可能性も十分あります。

特に光害の少ない郊外や海辺であれば、肉眼でも尾を引く彗星の姿を見ることができるかもしれません。

また、10/21はオリオン座流星群の極大も予想されています。

天気さえよければ流星群と彗星を同時に楽しめる数少ない日になりそうです。

詳しくはこの記事をどうぞ↓

つまり、本格的に彗星を写真に収めたい天文ファンであれば10月前半の未明が狙い目であり、気軽に肉眼や双眼鏡で楽しみたい一般の観測者にとっては10月後半から11月初旬の日没後が最適な観察タイミングだと言えます。

どちらを選ぶにしても観測前には必ず天気予報や月齢カレンダーを確認し、空が暗くなる条件を選ぶことが成功の鍵です。

ここからは10月後半のレモン彗星の見方を解説していきます。

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どうして暗い場所まで行かないといけないの?

彗星観察でもっとも重要なのは空の暗さです。

どんなに彗星が明るくなっても、街の明かりが強ければその姿は見えません。

大阪市内や堺市、あるいは神戸や奈良の一部地域など関西の都市部は夜でも空が明るく、地平線の近くが特に白く霞んでしまいます。

これがいわゆる光害(ひかりがい)であり、街灯・看板・ビルの照明などが空を明るくしてしまう現象です。

人間の目は暗い場所に順応することでかすかな光も感じ取れるようになります。

しかし都市部では目が暗順応する前に明るい光を浴びてしまい、夜空のコントラストが極端に下がります。

その結果、彗星のように淡く広がる天体は背景に埋もれてしまうのです。

レモン彗星は尾を持つ拡散天体であり、恒星のように一点では輝きません。

つまり、同じ明るさの星よりもずっと見つけにくい対象です。

人間の目だけでなく、カメラで撮影するときにも光害は無視できません。

空が明るいと「せっかく撮ったのに彗星の尾が写らない」という現象が起きやすくなります。

たとえば大阪市内の夜空では、肉眼で見える星の数は季節を通してもおよそ15個です。

一方で、街明かりのない和歌山県の山間部や海沿いの暗い場所では一度に2000個以上の星が見えることもあります。

つまり、場所を変えるだけで天の川が浮かび上がるほど空の表情が変わるのです。

そしてその差こそが彗星観察の「成功」と「失敗」を分けます。

さらに、レモン彗星は10月中旬から下旬にかけて日没後の西空に現れます。

これはまだ空が完全に暗くなる前の薄明の時間帯に観察することを意味します。

薄明中は空が青みがかっていて、彗星のような淡い光は見えにくくなります。

しかし、太陽が沈めば薄明の光よりも人工の光のほうが強い場合がほとんどです。

なので大阪や堺市内では彗星の光を見ることは難しいでしょう。

一方で、少しでも郊外へ出れば状況は劇的に変わります。

たとえば、大阪府の岬町や和歌山北部の加太海岸に行くだけでも空の暗さは段違いになります。

紀伊半島最南端の串本町などに行けば最高クラスの夜空が待っているでしょう。

これらの場所では太陽が沈んでから30分ほど経つと空が深い群青に変わり、低空まで星々が浮かび上がります。

太陽が沈みきっていないのに3等星も見えるほど暗い場所もあります。

そのような環境であれば、明るさが4等級前後のレモン彗星を肉眼で確認できる可能性が一気に高まります。

光害の影響を客観的に示す指標としてボートル・スケール(Bortle Scale)があります。

具体的な地図はこのサイトで見れます。

これは空の暗さを1〜9等級で表すもので、1が最も暗く、9が都市中心部です。

大阪市や堺市内はほぼクラス8〜9に該当し、肉眼では2等星すらまったく見えません。

ですが、阪南市や岬町まで行くと一気にクラス4〜5へと改善します。

そして、紀伊半島南部や白浜、串本、那智勝浦などはクラス2〜3まで暗くなります。

クラス2では天の川の暗黒帯が目が悪い人でもはっきりと見えるレベルです。

この差は写真にも大きく影響します。

都市部では背景が白く飽和してしまいますが、暗い場所では彗星の尾やコマの構造まで写し出せるのです。

また、光害は単に「明るい・暗い」だけでなく、色にも影響します。

街灯のナトリウムランプやLEDの青白い光は空の色を変えてしまい、彗星特有の緑がかった光を打ち消します。

せっかくの美しい発光も、光害下ではただの灰色のぼんやりした雲のようにしか見えません。

逆に暗い場所では空が自然な黒に近く、彗星の淡い色彩をそのまま捉えることができます。

「遠くまで行くのは面倒だ」と思う人もいるかもしれません。

しかし暗い場所に行くという行為は単に彗星を見るためだけでなく、本来の夜空を取り戻す体験でもあります。

田舎では都会では見えない無数の星々が現れます。

レモン彗星を探す時間は、同時に自分の感覚を取り戻す時間でもあるのです。

大阪や堺市の中心部では光害の影響が強く、たとえ太陽が沈みきっても彗星が見えない可能性が高いでしょう。

だからこそ、観測確率を上げたいなら少しでも暗い場所へ移動することが最も確実な方法です。

車で1〜2時間走るだけで空は驚くほど暗くなり、彗星の姿を捉えられるチャンスが格段に上がります。

紀伊半島の海岸線や高原はそのための最高の舞台です。

暗闇は恐れるものではなく、宇宙を映すキャンバスです。

この秋、街の光を背にしてほんの少し遠くの空を見上げてみてください。

そこでは太陽系の果てからやってきたレモン彗星が静かに光を放っているでしょう。

紀伊半島でおすすめの場所3つ

星空観察でゴミを残して立ち去ったり、立ち入り禁止区域に入ったり、違法駐車したり、現場で揉める人が多くなっています。必ずマナーは守りましょう。

ここからは紀伊半島でレモン彗星を見るのにおすすめの場所をいくつか紹介します。

車で1時間半で行ける場所から2時間半かかる場所まで、幅広く書きました。

加太 (和歌山市)

最初に紹介するのが和歌山市の加太です。

さすがに天の川が見えるレベルではないかもしれませんが、それでも大阪市や堺市に比べれば格段に暗いです。

和歌山市という都会の中にあるにも関わらず、周辺よりも暗いのが特徴です。

電車でもアクセスできるので非常に便利ですね。

大阪や堺市内でレモン彗星を見るくらいならここまで行きましょう。

西の方向が開けているのでおすすめです。

白崎海洋公園 (由良町)

次に紹介するのが白崎海岸です。

ここは「串本ほど遠くないけど天の川が見える」場所として有名で、空も非常に暗いです。

電車でのアクセスは悪く車で行くのが前提ですが、興味がある人は行ってみてはいかがでしょうか。

西の方向が開けているのでレモン彗星がばっちり見えるでしょう。

潮岬 (串本町)

最後に紹介するのが潮岬です。

ここは本州最南端地点で、圧倒的な空の暗さが魅力です。

大阪からは非常に遠いですが、「最高の空の下で彗星を見たい」という人にはおすすめです。

また、彗星を見るなら双眼鏡がおすすめです。

もちろん肉眼でもレモン彗星が見える可能性がありますが、双眼鏡を使うとより見られる確率が上がります。

しかも拡大して見られるので、彗星の尾もはっきりと見られるでしょう。

詳しいことはこの記事で書いたので読んでみてください↓

私のおすすめの双眼鏡↓

双眼鏡で太陽を直接見るのだけはやめましょう。網膜が焼かれて失明する恐れがあります。太陽が完全に沈んでから双眼鏡を出してください。

最後に

今回は大阪・和歌山から行ける、レモン彗星を見るためのおすすめスポットを紹介しました。

私のおすすめは白崎海洋公園です。

こんな感じで大阪市内から車で1時間40分くらいで行けるわりに、空が非常に暗く天の川が見えるチャンスもあります。

加太は都心から近いけど明るい、潮岬は暗いけど都心から遠いという弱点があります。

というわけで、レモン彗星をみるなら紀伊半島にぜひ行ってみてください。

では。

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