*値に多少のズレがあります。研究目的で使う場合には必ず別の文献も参照してください
*ΛCDMモデルでの仮定:
赤方偏移とは?
そもそも赤方偏移 \(z\) とはなんなんでしょう?
簡単に言うと \(z\) は次の式で表されます:
\[ z= \frac{ \lambda_{\text{obsv}}-\lambda_{\text{emit}} }{\lambda_{\text{emit}}} \]
\( \lambda_{\text{obsv}} \) は観測者(私たち)が計測した光の波長で、\( \lambda_{\text{emit}} \) は天体が発したときの光の波長です。
\( \lambda_{\text{obsv}} \) は簡単に求められますが、\( \lambda_{\text{emit}} \) なんて分かるんでしょうか?
それには元素のスペクトル線を使います。
例えば Hα線であれば656.28 nmで固有で、実験室内で精密に求められています。
それを使い赤方偏移の値を求めるということですね。
この定義式の通り、赤方偏移は波長の比率を示す値で無次元量です。
この赤方偏移が遠方の銀河や銀河団の距離を求めるのに大活躍するのです。
光行距離・ルックバックタイムとは?
ルックバックタイムとは、簡単に言えば「私たちに光が届いて観測される何年前に天体から光が発せられたか?」を表す時間です。
例えばルックバックタイムが1億年の場合、1億年前に発せられた光を今見ていることになります。
そして、光行距離とはルックバックタイム×光速で求められる距離です。
宇宙空間内で光が実際にどれくらい移動したのかを表す距離ですね。
直感的でわかりやすい数値です。
共動距離とは?
ここで特に重要なのが共動距離です。
共動距離とは次で定義される距離です:
\[ d_C(z)=c \int^z_0 \frac{\text{d}z'}{H(z')} \]
\( H(z') \) はハッブルパラメータで、宇宙の膨張の速さを表しています。
単位はkm/s/Mpcです。
ΛCDMモデルでは次の式で表されます:
直感的に説明すると、共動距離とは「光を発した天体と私たちは現在どのくらいの距離にいるか」というものです。
実際には宇宙の膨張の影響を補正するためにスケール因子が登場したりで複雑ですが、共動距離は光行距離よりも長くなります。
理由は光行距離は天体が光を発した地点から私たちまでの実際の距離ですが、共動距離は宇宙の膨張の影響でその分伸びているからです。
ルミノシティ距離とは?
ルミノシティ距離とは、天体の絶対的な光度と観測されたフラックス(明るさ)から距離を求めようというものです。
定義はこうです:
\[ d_L=\sqrt{\frac{L}{4\pi F}} \]
\(L\) は天体の絶対光度、\(F\)は観測されたフラックスです。
ただ、宇宙の膨張により光の波長が引き伸ばされ光子のエネルギーが下がるなど様々な影響があります。
そこで、ルミノシティ距離のもう一つの定義として共動距離 \(d_C(z)\) を用いて
\[d_L(z)=(1+z)d_C(z)\]
と定義されます。
目的別に距離を使い分けよう
ここまでかなり調べながら書いたので、間違っている箇所などあれば遠慮なくコメントを下さい。
結論として、
- 光が旅した実際の距離を知りたいならルックバックタイム×光速(光行距離)
- 現在の私たちと天体の距離を知りたいなら共動距離
を使おうということになります。
宇宙論は面白いですね。
色々勉強したくなったのでまた調べてみます。
遠慮なくコメントください!
では。
















