天体写真

低予算の安いカメラ・レンズ・赤道儀で雑誌レベルの天体写真を始める方法とは!?

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天体写真って、なんだかお金がかかる趣味というイメージがありませんか?

「星雲を撮るには冷却CMOSカメラと高価な望遠鏡が必要」

「赤道儀ひとつで20万とか30万するんでしょ…」

「結局お金持ちの趣味なんでしょ?」

そんなふうに思っていた時期が私にもありました。

実際、天体写真の初期投資には最低でも80万円必要と言われています。

内訳はこうです:

・冷却CMOSカメラ:20万円

・望遠鏡:30万円

・赤道儀:30万円

いくらなんでも高すぎですね笑

ですが実際に調べて工夫して、中古市場も上手に活用してみると…

なんと25万円未満で本格的な天体写真を始められるんです。

この記事では私が提案するコスパ重視&低予算の撮影セットをご紹介します。

星景写真や月ではなく星雲・星団のようなディープスカイ天体が撮れて、画像処理までしっかりできる構成です。

ぜひ最後までご覧ください。

25万円未満で宇宙を撮るために選んだ機材

今回紹介するのは フルサイズカメラ + 明るい中望遠レンズ + Sky-Watcher製赤道儀 という、ポータブルだけど本気の撮影構成です。

それぞれの機材と価格感はこちら。

*2025年春時点での情報です

カメラ本体:Canon EOS 6D(中古) → 5万円

すでに生産終了してしまっているようで、中古市場でしか手に入りません。

しかし、天体写真界隈では現役で活躍する「神ボディ」です。

中古価格で約5万円前後。

高感度でノイズに強く、天体撮影にうってつけなフルサイズ機です。

マウントはEFマウントなので、EFマウントに対応したレンズを買いましょう。

またはヤフオクメルカリで探してください。

カメラ改造(Hα強調) → 3万円

一眼レフカメラはそのままでは星雲の撮影には使えません。

赤い星雲は主にHα線という波長で輝いていて、カメラの内部に付いている色調整フィルターがこの波長をカットしてしまいます。

なのでカメラ改造業者に依頼し、内部のフィルターを外してもらう必要があります。

自分で改造しようとする人がいますが、専門的な知識がない限り失敗するのでやめたほうがいいです。

おすすめはハヤタカメララボです。

詳しくはリンク先をご覧ください。

価格はおよそ3万円です。

レンズ:Samyang 135mm f/2.0 ED UMC → 5万円

明るくシャープで、天体写真界隈でも定番の神レンズです。

新品で約5万円という低価格ながら、海外にも根強いファンがたくさんいるほどの性能です。

粗悪レンズだとf値を下げると星の周りに紫色のリングが出たり、周辺部が伸びたりと使い物にならなくなります。

ですがこのレンズはf2やf2.8でも十分の性能を誇っていて、安心して使える性能です。

EOS 6D と組み合わせるので必ずEFマウントのものを選びましょう。

あとで作例をお見せします。

中古であればさらに安く手に入るでしょう。

またはヤフオクメルカリで探してください。

赤道儀:Sky-Watcher Star Adventurer GTi マウント + 三脚 → 9万円

この赤道儀はポータブル赤道儀とは違い、いわゆる「ちゃんとした」赤道儀です。

一部レビューで「性能が足りない」と言われているようですが、焦点距離135mmのレンズとフルサイズカメラの組み合わせであれば十分すぎるほどの性能です。

また、オートガイドや自動導入を考えたときにもオプションを買うだけでそのままアップグレードできます。

多くの天文ファンが「赤道儀にはお金をかけたほうがいい」と言います。

この Star Adventurer GTi は低価格と汎用性の両方を実現した、唯一無二の赤道儀だと思います。

三脚込みで10万円以下なのはまさに破格ですね。

SDカード:SanDisk 128GB → 3000円

RAW撮影には容量が必要です。

天体写真は連写するわけではないので、書き込み速度はそこまで気にしなくて大丈夫です。

安心安全なSandiskの128GBでおよそ3000円です。

リモートレリーズ:ロワジャパン製 → 2000円

カメラに差して設定するだけで自動でシャッターを切ってくれるすぐれものです。

これがあるだけで快適性が何倍も違います。

レンズヒーター:CooWoo → 3000円

夜になって気温が下がると、レンズが結露しやすくなってしまいます。

レンズが結露すると撮影終了になってしまうので、必ずレンズヒーターを持っておいてください。

撮影を始める前に巻き付けておくと安心です。

ノートパソコン → 手持ちのものでOK

天体写真ではノートパソコンが活躍します。

赤道儀の制御から画像処理まで、ノートパソコンがあると非常に便利です。

持っていなければ一台買うといいでしょう。

画像処理ソフト:Siril → 0円

画像処理ソフトにはPhotoShopが必要という意見が多いですが、Sirilという専用ソフトを使えばタダです。

SirilはWindowsとMacの両方に対応しているので素晴らしいですね。

Sirilで限界を感じていて、余裕があればPixInsight(およそ5万円)を買うといいでしょう。

というわけで、なんと合計228,000円です!!

このセットで実際に星雲や星団がしっかり写せます。

しかも軽量で運びやすく、車や電車で暗い場所に出かける遠征にも対応できます。

まさに本気だけど軽装備な構成です。

撮れる天体とジャンル

このセットでどんな天体が撮れるかというと…

・アンタレス付近の星雲(カラフルタウン)

・干潟星雲・三裂星雲付近の夏の天の川の中心部

・はくちょう座のサドル付近の散光星雲

・ケフェウス座の散光星雲・分子雲

・カシオペヤ座全景

・ハート星雲・胎児星雲・二重星団

・すばる(プレアデス星団)付近の分子雲

・ヒアデス星団

・おうし座の分子雲

・ぎょしゃ座全景

・オリオン大星雲・馬頭星雲・M78

・ばら星雲・クリスマスツリー星団

・北極星付近の分子雲

・超新星残骸

などなど、非常に多くの構図が考えられます。

135mmは天体写真の中では広角の部類ですが、広角ならではの楽しさもあります。

また、工夫次第では天体写真だけでなく新星景写真(地上と星空を別々に撮って合成する手法)にも挑戦できます。

最近になって広角で撮る人は減ってきてしまいました。

ですが広角だからこそ見れる景色も十分あると思います。

飽きてきたら違うレンズや望遠鏡にチャレンジしてみるのも全然ありですね。

特に夏の天の川は壮観ですよ。

撮影の流れ

実際の撮影はこんな流れで進めています。

・Staradventurer GTi を三脚にセット

・カメラとレンズをバランスよく搭載(反対側にカウンターウェイトを固定する)

・スマホアプリまたは極軸望遠鏡で極軸合わせ

・構図とピントを調整

・ISO400-1600で、f2.8で2-3分露光×60枚以上

・ダーク、フラット、バイアス画像も撮影

・撮影後はSirilでスタック・現像・仕上げ

一見大変そうに見えるかもしれませんが、慣れればセッティングも楽しくなってきますよ。

注意点とアドバイス

ここでいくつか注意点とアドバイスを紹介します。

赤道儀の固定は頑丈に

天体写真は少しの振動や衝撃に敏感です。

必ず赤道儀のマウントを三脚にガッチリ固定してください。

固定せずに撮影を進めてしまうと赤道儀が揺れたり、最悪の場合赤道儀が落下して怪我をするかもしれません。

極軸合わせは超重要

これが甘いとすべてが崩壊します。

慣れるまでは北極星をしっかり観察して調整しましょう。

スマホアプリの Polar Scope Align が便利です。

もしくは極軸アライメント機能を使ってください。

レンズヒーターで結露対策を

レンズに曇りが出ると撮影終了になってしまいます。

冬場は特に注意してください。

曇りを放置するとレンズにカビが生える原因にもなります。

撮影現場には必ずレンズヒーターを持っていくようにしましょう。

光害が強い場所ではフィルターを検討

都市部で撮影する場合、L-eXtremeなどのフィルターを追加することでぐっと写りがよくなります。

ただ、これはレベルが高いので最初からするのはおすすめできません。

まずは暗い場所で星空を眺めながら星雲を撮ってみてください。

実際の作例

残念ながら私はこのセットを持っていないので私の作例は紹介できませんが、代わりにネット上で特に上手いなと思った人たちの作品を紹介します。

すべて Canon EOS 6D + Samyang 135mm f/2.0 ED UMC の組み合わせです。

ただ、著作権の関係で画像を貼り付けて紹介することができません。

リンク先を見ていただければと思います。

夏の天の川全景

app.astrobin.com

この作品は南半球のブラジルで撮影されたものです。

モザイク合成という、複数枚の写真を張り合わせて大きな一枚にする手法が取られています。

Canon EOS 6D + Samyang 135mm f/2.0 ED UMC の組み合わせでここまで写るなんて圧巻ですね。

素晴らしいの一言です。

レナード彗星

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これは2021年に発見されたレナード彗星の広角写真です。

彗星をこのように撮影できるチャンスはそう巡ってこないですが、Canon EOS 6D + Samyang 135mm f/2.0 ED UMC の組み合わせであればこんなことも可能です。

季節ものを撮影できるのも天体写真の醍醐味ですね。

すごく綺麗な作品だと思います。

エリダヌスループ

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これはオリオン座の西側に位置する、エリダヌス座の星雲を捉えたものです。

決して知名度は高くないですが、このように淡い星雲や分子雲が広がっています。

ひらがなの「し」の形にも見えますね笑

Samyang 135mm f/2.0 ED UMC の星像の鋭さがここでも発揮されています。

魔女の横顔星雲周辺

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これはオリオン座とエリダヌス座の境界付近を捉えた画像です。

細長くて白いもやもやは「魔女の横顔星雲」と呼ばれているもので、非常に綺麗ですね。

特にオリオン座には散光星雲や分子雲が至るところに広がっています。

この作品もその星雲たちを余すことなく捉えたものになっています。

カリフォルニア星雲周辺

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これはペルセウス座のカリフォルニア星雲周辺を捉えた画像です。

赤くて細長い星雲はカリフォルニア州の形に似ていることから、「カリフォルニア星雲」という愛称で呼ばれています。

下の方にも色々な星雲が広がっていて素敵ですね。

とても綺麗です。

すばる周辺の分子雲

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この作品はおうし座のすばると、その周辺の分子雲を写したものです。

すばるは拡大撮影する人が多いのですが、こうして引きで撮影すると周囲に美しいもやもやが漂っている様子がわかります。

青と黒のコントラストが最高ですね。

素晴らしい作品です。

オリオン座の星雲たち

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たぶんこの構図が一番人気だと思います。

オリオン座には本当に面白い星雲がたくさんあります。

それらをまとめて一枚に移せるのは Canon EOS 6D + Samyang 135mm f/2.0 ED UMC の組み合わせの特権です。

本当に美しいですね。

本気度はお金じゃない、選び方と工夫で決まる

「天体写真=高級趣味」というイメージは少し前の話です。

今は中古市場や格安レンズ、無料ソフトを活用することで、25万円以下でも本格的な撮影環境が作れる時代です。

この構成は決して妥協ではありません。

むしろ必要な部分にちゃんと投資し、無駄を省いた戦略的構成です。

天体写真は夜空の光を見上げるロマンの世界。

ぜひあなたも、最初の一歩をこのコスパ構成から踏み出してみてください。

では。

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